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インディーゲームの小棚:Shelf#06『Gear: Full Circle』

Posted on 2013年3月13日水曜日 | No Comments


「作り手というのは、信奉されたい願望と批評されたい願望とを併せ持つ一人SM」といった旨のツイートに同感を覚えた筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第6回は、アメリカのDigiPen Institute of Technologyの学生作品『Gear』を紹介する。その名の通り歯車(gear)のようなギミックを駆使して進めるというワイヤーアクションだ。ワイヤーアクションゲーム好きなのは認めますが、ワイヤーを使った一人SMはしていないことはちゃんと主張しておきたいと思います。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

『Gear: Full Circle』を開発したのはDigiPen Institute of Technology*1の学生らからなるTeam 3。開発期間は2008年9月から2009年11月と公式サイトには記載されている。以下のような実績もあり、学生作品ながら高く評価されたことが伺える。

  • Independent Game Festival 2010 - Student CompetitionにおいてHonorable Mention
  • Indie Gmae Challenge 2010 - Non-ProfessionalにおいてGrand Prize Winner
  • DigiPen Institute of Technology - 2008-2009 Student Game Awards

*1 アメリカのワシントン州レドモンドにある、コンピュータインタラクティブテクノロジーの研究、教育を行なっている学校。かの『Portal』の元となった『Narbacular Drop』を生みだしたのが、この学校の学生チームである。また、『Portal 2』に採用されたペンキのギミックも、同校在籍の学生作品『Tag: The Power of Paint』に由来している。ほかにもアクロバティックレーシング『Nitronic Rush』や視点切り替えをモチーフにしたファーストパーソンパズラー『Perspective』など同校出身で注目を浴びているゲームは少なくない。

ゲームはオーソドックスな2Dアクションで、ADで左右に移動、Wかスペースキーでジャンプといった操作になっている。本作の要とも言えるワイヤーアクションの操作も難しくない。マウス操作でカーソルを操作し、マップ上にある丸型のオブジェクト、または壁面に設置されているデコボコしたオブジェクトにカーソルを合わせて、左マウスボタンでワイヤーを射出すればよい。ワイヤーの先は歯車型になっており、歯車をオブジェクトに引っかけることでプレイヤーの軌道が変化する。押している左マウスボタンを放すと、ワイヤーを外して慣性に合わせたジャンプができる。
丸型のオブジェクトにワイヤーを引っ掛けると、その場で円運動を行う
青いオブジェクトなら時計回り、赤いオブジェクトなら反時計回りだ
デコボコしたオブジェクトにワイヤーを引っ掛けると、オブジェクトに沿って平行移動できる
赤のデコボコしたオブジェクトのほうが移動速度が早く
末端部に至ると、大ジャンプで自動的にオブジェクトから離れる
進むべき方向も『スーパーマリオ』シリーズのコインよろしく、ステージ上に金色の歯車が配置されており、これに合わせて進んでいけばよいので迷うことは少ないだろう。

ステージ3からは緑の丸型オブジェクトが登場する。これはワイヤーを引っ掛けるとそのオブジェクトの周囲の地形が回転するというギミックで、ステージにパズル要素を与えている。なお、緑っぽい色の歯車は、しゃがんでいるとき(操作はS)のみワイヤーを引っ掛けることができる。
右側に進みたければ……
しゃがんだ状態で緑のオブジェクトにワイヤーを引っ掛けて地形を回転させる
地形が変化して右側に進めるようになった
難易度は初心者向けの「Mild」と慣れたプレイヤー向けの「Spiky」の2つが存在。MildもSpikyも地形自体は同じものだが、Spikyでは触れるとダメージを受けてしまう針が各所に設置されている。Spikyは闇雲に難易度が高くなってしまうので、最初はMildでゲームに慣れるのがよいだろう。
画面左上の歯車がライフゲージ
これがなくなると最寄りのチェックポイント(テレビのようなオブジェクト)から復帰する
ワイヤーアクションと言うと、どうしても空中ブランコを連続で乗り継ぐようなタイミング重視の難しめのゲームになってしまいがちだが、本作では慣性の弱まりをスポイルしており、結果的にとっつきやすさにつながっている。もちろん、ゲームに慣れてしまえばワイヤーを連続でつなげてステージを突破するような楽しみ方もでき、小粒ながら良質なアクションゲームという印象だ。
ステージはノーマル5ステージに加えてクラシックステージもいくつか用意されている。クリアまでは2~3時間程度だろう。『Gear: Full Circle』はDigiPenのサイトで無料公開されている。グラフィックやSE、BGMといった部分は貧弱といった印象もあるが、やや脱力気味の独特の雰囲気に味わいがあるのも事実。ワイヤーアクション好きには、ぜひともプレイをオススメしたい。

『Gear: Full Circle』公式サイト
http://b-lee.net/gear/
DigiPen Institute of Technology - 『Gear: Full Circle』
https://www.digipen.edu/?id=1170&proj=8716

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