レビュー『∀kashicverse -Malicious Wake-』
Posted on 2013年4月7日日曜日
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死に舞氏によるレビュー。
死に舞氏のTwitterアカウント
https://twitter.com/shinimai
死に舞 - はてなダイアリー
http://d.hatena.ne.jp/shinimai/
ゼロ年代以降の日本の同人STGは、インディーゲームにおけるもっとも熱いシーンだったのではないだろうか? もちろん、規模の点ではデベロッパーもプレイヤーもかなり小さい。だけど、そこに関わった人たちの思いの強さは、『Indie Game: The Movie』が持つエモーションに引けをとらないように思える。
「思いの強さ」という漠然としたものを比較することは馬鹿らしいかもしれない。だったら正直に認めよう。私は昨今の海外インディーゲームと同じくらい、いや、それに負けず劣らず日本の同人STGシーンに熱狂していた。
『∀kashicverse -Malicious Wake-(以下、∀kashicverse)』は、まさに私が熱狂していた同人STGシーンにおける1つのマイルストーンだ。それは1つの道標として過去を継承している。また同時に未来を作っていくだろう。
■ジャンル 2Dシューティング(Shoot 'Em Up)
■開発 エンドレスシラフ
■プラットフォーム Win
■リリース日 2012年12月31日
■価格 1000円(イベント価格) 1575円(ななぽストア)
■入手経路 即売会 ななぽストア
■公式サイト http://endless-shirafu.com/akashicverse/
■プレイバージョン v1.00(記事執筆段階での最新パッチはv1.01)
■プレイ時間 15時間程度(∀DVENTのノーコンティニュークリアまで)
フリーゲームや同人ゲームにおける「シューティング(英語で言うところshoot'em up)」の歴史は思った以上に古く、現在でもプレイされているものとしては、よっしん氏の『超連射68k』(1995年)などが知られている。だが、2002年にリリースされた犬丼帝国(現RUMINANT'S WHIMPER)の『らじおぞんで』や上海アリス幻樂団の『東方紅魔郷』などが現在のシーンの直接の源流となっていえるだろう。
犬丼帝国のひらにょん氏と上海アリス幻樂団のZUN氏の2人はかなり作風が異なる。だが両者とも、プログラミングからグラフィック、そして音楽まで1人で制作するマルチクリエーターであり、結果としてこれまでのゲーム以上に「作家性」が感じられる作品をリリースしてきた。そして、彼らが生み出した傑作が、ゼロ年代の同人STGシーンに火を付けたと言えるだろう。
ZUN氏は東方Projectの名の下に、一連のSTGと著作を積極的に発表してきた。それはその後の同人文化に多大な影響を与えたことはよく知られている。それに比べると、ひらにょん氏の『らじおぞんで』と『Hellsinker.』(2007年)が与えた影響の範囲はかなり小規模だろう。だが、それは強烈なボディブローであり、同人STGシーンにおいては未だに多大な影響力を持っている。その他にもSITER SKAINやPlatineDispositif、RebRank、橙汁、天然素材、四ツ羽根、クロスイーグレットなど、ベテランから新人問わず多くの同人サークルがSTGを発表しており、その勢いは未だに衰えてはいない。
2012年のコミックマーケット83で発表された本作は、同人STGシーンにおいて注目を集めていた最新作だ。エンドレスシラフは本作以前には、『Alone』(2010年)など主にビジュアルノベルをリリースしてきたサークル。以前にもSTGも制作していたようだが、同人STGの中では若手サークルに位置づけられるだろう。
「一人非零和無限未確定不完全情報ゲーム」と仰々しく銘打たれた本作。その名前に劣らず、本作はゼロ年代以降の同人STGシーンが開拓してきた肥沃な大地で純粋培養されたハードコアかつエクストリームなSTGだ。尖りに尖ったそのセンスは、シーンを知らないプレイヤーからするとほとんど理解不能なまでに先鋭化している。PVはその雰囲気をある程度伝えてくれる。だが、一般のゲーマーからしてもその内容は理解し難いだろう。
私自身も「∀DVENT」という簡単なモードをノーコンティニューでクリアしているものの、完全に理解したとは言いがたい。ステージ序盤から異常なテンションの音楽と「殺す気が満々」の敵弾に圧倒される。本作の音と映像の情報量は端的に言って過剰、まさに電子ドラッグと呼ぶに値する。
だが、敷居の高さを見せる反面、実は本作には非常に丁寧なチュートリアルが付いている。そして「∀DVENT」に関しては難易度的にもかなり簡単な部類だ。PVを見てプレイする気になった人は、以下の文章なんて読まずに、今すぐ体験版をプレイしてほしい(ただし、悪いことは言わないからチュートリアルを先にしたほうが良いと助言しておこう)。とはいっても、大量な弾幕や敵弾、過剰な情報量のUI、ぶっ飛んだ操作系などやはり複雑であり、取っ付き難いことは確かである。
体験版のダウンロード - 『∀kashicverse』公式サイト
http://endless-shirafu.com/akashicverse/#content_download
そもそも何を考えてこんな複雑なシステムのSTGを作っているのか? STGとはビデオゲームにおいては、もっとも歴史が深く、かつシンプルなものではないか? さらに言えば、それは時代から見放され、進化の袋小路に入った「死んだジャンル」なのではないか? 昨今の同人STGシーンに馴染みのない人ならば、以上のような疑問を抱いてもおかしくはない。
だが結論から先に言えば、STGは決して「死んだジャンル」ではない。もっと言えば、STGを作ってきた同人サークルの多くは、単なる技術的な制約や懐古趣味を理由にして、このジャンルを制作してきたわけではない。コンソールやアーケードでのSTGのリリースが減ってきた現在もそれは確実に進化してきたのである。そして、その進化がもっとも先鋭的であったのが同人STGだったのだ。
そこで本レビューの責務は、同人STGの進化の極みとしての『∀kashicverse』の魅力を、そのシーンの動向を知らない人にも説明することだ。そこでは本作に影響を与えたであろう同人STGに触れながら、主にゲームシステムの観点から考察したいと思う。実際にはそのデザイン、UI、音楽、世界観など語るべきポイントは数多くある。しかし、読者のモチベーションの制約上、それらは別の機会にする。さらに言えば、『∀kashicverse』に対する影響の有る無しは私が作品から感じ取った推測でしかない。エンドレスシラフがどういう構想で本作を制作したかについてはいずれインタビューなどを行いたいと考えている。
CAVEや東方Projectに代表されるような「弾幕系」というジャンルは、言わば「左手のゲーム」である。要するに多くの敵弾をさばくための左手の操作に重みがあり、往々にして右手はショットボタンを押しっぱなしだ。せいぜい緊急回避のためのボムを撃つタイミングが問われるだけだ。
それに対して既存の弾幕系STGから差別化をはかるため、同人STGの中には大きく右手に重心を移してきた作品がある。代表的な事例としては、『Hellsinker.』が存在する。『Hellsinker.』では1キャラクターごとに3つのボタンを組み合わせた攻撃・防御手段が多様にあり、これまた速くて多い敵弾を強力な自機でねじ伏せていくのだ。結果として、弾幕シューティングが持っている受動的な側面を廃し、多彩な攻撃手段による積極的なプレイスタイルが要求されるのだ。
この多彩な攻撃手段という点以外でも、『∀kashicverse』が同人STGの潮流において向かった方向性がある。それは端的に言えばSTGのリソース管理システムだ。敵弾を避けることを強調する弾幕シューティングでは、基本的に残機とボムというリソースを管理することで攻略が達成される。そこでの発想はシンプルであり、ラスボスを撃破するまで残機とボムをいかにキープし続けるかがポイントなのである。
だが同人STGには、この「残機+ボム」というシンプルなリソース管理システムに「否!」と申し立ててきた作品がある。代表的な事例としてはRebRankの『五月雨 ~samidare~(以下、五月雨)』(2002年)と『RefRain ~prism memories~(以下、RefRain)』(2011年)が挙げられる。
「お前ら、前に出ろ。」という威勢の良いキャッチフレーズで知られる『五月雨』は、シールドによって敵弾を吸収することでショットを強化できるシステムを採用。ゲージを使用するシールドと吸収したショットで放つハイパーによって、「残機+ボム」というシステムにはなかったリソース管理のあり方が斬新だった。『RefRain』ではこの方向性はさらに洗練されたものになった。詳述はできないが、通常ショット以外に二系統のリソースを消費する攻撃・防御手段があり、これらのリソースをうまく循環させることによって敵を撃破していくものだ。
これらのRebRankの作品が採用した複数のリソース管理システムは、結果として、画面下で弾幕を回避しつつ、苦手なパターンをボムで飛ばすという「残機+ボム」というシステムの持っていた受動的な要素を廃してきた。そこで求められるのは、プレイヤーが主体的に戦術を編み出し、敵を撃破していくというプレイスタイルだ。
『∀kashicverse』は、これらの同人STGの影響を受けつつ、多彩な攻撃手段と複数系統のリソース管理システムを採用することで、より積極的でアグレッシブなプレイスタイルを実現している。以下では、具体的に本作のシステムを紹介することで、本作がこれら2つの進化の方向性をさらに推し進めたのかを見ていこう。
私はこの「メソッド」のコンセプトを東京ロケテゲームショウなどを通じて開発段階で既に知っていた。正直、STGで昇龍拳コマンド、果てはレバー一回転を要求するというこの途方もないシステムには「マジかよ!」と思った。思いつくだけなら誰でもできる。ある意味では陳腐で馬鹿らしいアイデア。だがエンドレスシラフはこの冗談のようなシステムで素晴らしいゲームを完成させたのである!
メソッドは細かな派生を除いても合計8つもある。近接攻撃、緊急回避的なボム、強力なワイドショット、瞬間移動、敵弾を誘導するデコイなど本当に多種多様だ。敵の猛攻も他のゲームと比べると桁違いだが、自機の武装も桁違い。まさに重武装vs.重武装の強烈な力のぶつけあいなのだ。
これだけ聞くと、本作は格闘ゲームのような繊細なコマンド入力が必要かと思われるかもしれない。だが、実際のところコマンド入力の受付時間は長く、昇竜拳コマンドにしても横・斜め・下と一個ずつゆっくり入力すれば発動する。逆にこのステップごとに入力する形式だとアーケードスティックよりもパッドでのプレイの方がやりやすかった。むしろ一番苦戦したのは、コマンド入力に慣れることよりも、パッドでのボタン配置だった。チュートリアルをひと通り理解した後、コマンドボタンとシールドの開閉ボタンの位置にはかなり悩んだ。
コマンドボタンを押しながら十字キーでコマンドを入力してショットで発動という操作系は、格闘ゲームともひと味ちがう。むしろ、ゲーム起動時に入力する「コナミコマンド」といった隠しコマンドに近い。またこの手のアイデアには「コマンド入力で敵機をハッキングする」というシステムを採用したフリーゲーム『Galax』(2003年)があったことを付け加えておこう。
ゲームに慣れれば、戦況に合わせてプレイヤーが取れる選択肢の多くに驚かされるだろう。コマンドボタンを押している時に発生する「抗体領域」が敵弾を遅くさせることも手伝って、ハイスピードな弾幕と大量の敵群であっても十分に制圧することが可能だ。終始テンションの高い音楽と合わせ、テンポよくコマンドを決めていくプレイヤーは、光と音に合わせて踊るダンサーとして陶酔するのだ。
ひとつはシールドゲージであり、防御の要である。シールドは任意で開閉できるが、シールドを閉じた状態なら多少の被弾はゲージが減るだけでミスにならない。逆にシールドを開くと、ゲージを急速に回復することができるが、被弾すると即ゲームオーバー(実際には難易度によって異なる)。
もうひとつはメソッドゲージであり、上述したコマンド入力で発動できるメソッドのためのリリースだ。メソッドの種類によって当然、コマンドも異なるが、消費されるゲージの量も異なっている。当然だが、強力なメソッドほど多くのゲージを消費する。そのため、強力なメソッドを発動すると、しばらくは敵の猛攻に耐える必要があり、この辺りの駆け引きが攻略上の大きなポイントとなってくる。
この2つのシステムを基本としながら、『∀kashicverse』は『RefRain』と同様に、それらをうまく関連付けることで、二系統のリソースを循環させる。メソッドを使用して消費されたメソッドゲージはシールドを開くことによって回復することが可能なのだ。シールドを閉じた状態でも、メソッドゲージは敵弾のヒットやカスリによって回復するが、シールドを開くことによってその回復量は倍増する。もちろん、シールド開放時はゲームオーバーのリスクがある。だが強力な敵の攻撃に耐えるためには、積極的に強力なメソッドを使用し、シールド開放してゲージの回復を行なうというアグレッシブな循環的プレイスタイルを求められるのだ。
このシールドゲージとメソッドゲージのリソース管理は、ゲームバランスの調整においてもうまく機能している。比較的に自機狙い弾が多い本作の弾幕は、シールド開放によってメソッドゲージを回収できるタイミングが多い。そのため、たとえ強力なメソッドを発動してもゲージを取り戻す機会は頻繁に用意されている。またシールドゲージにしても、ボス戦前などの演出場面でシールドを開放することで回復する場面が多い。そのため、シールドゲージが減ってジリ貧になっても復帰できる可能性は豊富だ。
プレイヤーはリスクとリターンをリアルタイムに計算して、敵の猛攻により効率よく対抗していく。弾幕STGほどの繊細な弾避けは求められないものの、リソースに応じた状況判断が非常に重要になってくる。また構築した攻略パターンから逸脱しても、アドリブで乗りきれる場面も多い。このプレイスタイルと難易度選択の自由度の高さは、本作がカジュアルなシューターからベテランスコアラーまで広く楽しめる内容を担保している、
だが、一度に多くの選択肢が委ねられるこのようなシステムは、初心者には敷居が高く、一般のSTGとしては根付かなかったと言ってよい(そもそもSTG自体がマイナーなのだが)。だが、同人STGではゼロ年代以降、この種のスタイルが花を開き、実を結び、さらに洗練されたものになったと言える。『Hellsinker.』や『RefRain』がさらなる開拓を行い、『∀kashicverse』はその正統な後継者なのだ。
『∀kashicverse』は、プレイヤーが積極的に自分のプレイスタイルを作っていくという意味では、非常に自由度が高いゲームシステムだ。しかしながら、ステージにおける敵の出現や弾幕のパターンという意味では、非常にランダムな要素が少ない。そのため、敵の配置と弾幕の種類、ボスの攻撃の順番などは何度も死んで覚える必要がある。初見殺しはもちろん、特定のボスに至っては、通常の攻撃方法が効かないといった初プレイではわからないことがかなり多い。結果として、多様な選択肢の中で主体的にパターンを構築していくというのが、本作の大きな魅力だ。
だが、若干ながらシステム面での問題点が感じられた。第一に多様な選択肢として提示された8つ以上のメソッドが効果的に機能しているかという点。第二にリソース管理のシステムが全ステージを通した大局的なゲームバランスを成り立たせているのかという点だ。
前者に関しては、STGの楽しみとしてスコアアタックという要素があるため、断定は避けたい。だが少なくとも、私がクリアを目的としたプレイでは、まったく使用しないメソッドが2、3存在した。追尾型のレーザーである「Annihilator」(とその派生)、強力なワイドショットの「Menace Rejector」、あとは緊急回避的なボム「Banish Blast」の3点あれば、ほとんどの場面は切り抜けられる。限定的な場面でデコイの「Attractant Other」やド派手な演出共に登場する巨大兵器「Eliminator」を使用するのは楽しいが、必要不可欠ではないのだ。
後者に関しては、シールドゲージもメソッドゲージもステージごとに回復するため、通しプレイにおける戦略性が乏しいことが指摘できる。序盤で残機を稼いだり、ゲージストックを次ステージに温存するという発想がないため、『∀kashicverse』の通しプレイはあくまでも個別のステージを順番にクリアしていくだけになっている。唯一、ストックすることができる「Eliminator」のゲージもそれほど攻略上大きな意味を持たない。
そのため、本作においては、1つのステージ、1つのボスの攻撃パターンに詰まるとゲームの攻略が滞るという問題はある。もちろん、ボムというある意味、初心者救済システムを採用していない『斑鳩』(2001年)などでもその傾向は強い。しかも、残機制ではなくワンミスでゲームオーバーであるため、すべての弾幕やボス戦に明確なパターンを組む必要がある。(コンティニューは無限に可能であるため、とりあえずのクリアは簡単にできるのであるが。)
ただし、チュートリアルやゲームのボリュームから言えば、それほどやりずらいものではない。ぜひとも本作から同人STGの魅力、そしてSTGが持つ未来を感じてほしい。そして世界的な水準からしてもトップレベルな作品をリリースしている国内の開発者たちにより一層の注目が集まることを期待したい。
また本作にはアーケードのSTGはもちろん、同人STGの傑作のオマージュと思しき演出が数々ある。それらはシーンにコミットしている人間にとっては涙せずして語れない熱い思いが込められている。STGを愛するものなら、間違いなくプレイする価値があるだろう。また日本のインディーゲームの歴史に残る作品としても、本作には5段階評価における4.5クラスの評価を与えたい。
4月に公開される予定のパッチや本作のストーリーや世界観についてはまだまだアップデートの予定があるそうだ。とはいえ、現段階での完成度はかなりのもの。国内のインディーゲームとしてはトップクラスのクオリティだ。流通はAmazonを通したネット販売が行われているため、アクセスしやすい。今後は海外でのダウンロード配信などに期待したいところである。
『∀kashicverse -Malicious Wake-』公式サイト
http://endless-shirafu.com/akashicverse/
エンドレスシラフ公式サイト
http://endless-shirafu.com/
『超連射68K』(ファミべのよっしん、1995年)
http://www2.tky.3web.ne.jp/~yosshin/
『レイディアントシルバーガン』(トレジャー、1998年)
http://www.treasure-inc.co.jp/products/lp/silvergun/sgindex.html
『斑鳩』(トレジャー、2001年)
http://www.treasure-inc.co.jp/products/lp/ikaruga/ikaruga.html
『らじおぞんで』 - フリーゲーム夢限*1(犬丼帝国、2002年)
http://freegame.on.arena.ne.jp/rank/game/radio.html
『らじおぞんで』 - Vector
http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se313786.html
『東方紅魔郷』(上海アリス幻樂団、2002年)
http://www16.big.or.jp/~zun/html/th06.html
『五月雨 ~samidare~』(RebRank、2002年)
http://www.rebrank.org/products/smd/
『Galax』(masaHG、2003年)
http://www003.upp.so-net.ne.jp/masaHG/glxmain.htm
『Hellsinker.』(RUMINANT'S WHIMPER、2007年)
http://negishiomaru.nobody.jp/
『RefRain ~prism memories~』(RebRank、2011年)
http://www.rebrank.org/products/RefRain/
*1 公式サイトが消滅しているため、参考として掲載
死に舞氏のTwitterアカウント
https://twitter.com/shinimai
死に舞 - はてなダイアリー
http://d.hatena.ne.jp/shinimai/
ゼロ年代以降の日本の同人STGは、インディーゲームにおけるもっとも熱いシーンだったのではないだろうか? もちろん、規模の点ではデベロッパーもプレイヤーもかなり小さい。だけど、そこに関わった人たちの思いの強さは、『Indie Game: The Movie』が持つエモーションに引けをとらないように思える。
「思いの強さ」という漠然としたものを比較することは馬鹿らしいかもしれない。だったら正直に認めよう。私は昨今の海外インディーゲームと同じくらい、いや、それに負けず劣らず日本の同人STGシーンに熱狂していた。
『∀kashicverse -Malicious Wake-(以下、∀kashicverse)』は、まさに私が熱狂していた同人STGシーンにおける1つのマイルストーンだ。それは1つの道標として過去を継承している。また同時に未来を作っていくだろう。
■ジャンル 2Dシューティング(Shoot 'Em Up)
■開発 エンドレスシラフ
■プラットフォーム Win
■リリース日 2012年12月31日
■価格 1000円(イベント価格) 1575円(ななぽストア)
■入手経路 即売会 ななぽストア
■公式サイト http://endless-shirafu.com/akashicverse/
■プレイバージョン v1.00(記事執筆段階での最新パッチはv1.01)
■プレイ時間 15時間程度(∀DVENTのノーコンティニュークリアまで)
ゼロ年代以降の同人STGの盛り上がり
現在まで続く同人STGの潮流を正確に記述することは困難であり、今回のレビューの役目ではない。(いずれは私自身の視点から眺めた同人STGの簡単な歴史的概略や関係者のインタビューを交えたルポルタージュを執筆したいと思っている)。フリーゲームや同人ゲームにおける「シューティング(英語で言うところshoot'em up)」の歴史は思った以上に古く、現在でもプレイされているものとしては、よっしん氏の『超連射68k』(1995年)などが知られている。だが、2002年にリリースされた犬丼帝国(現RUMINANT'S WHIMPER)の『らじおぞんで』や上海アリス幻樂団の『東方紅魔郷』などが現在のシーンの直接の源流となっていえるだろう。
犬丼帝国のひらにょん氏と上海アリス幻樂団のZUN氏の2人はかなり作風が異なる。だが両者とも、プログラミングからグラフィック、そして音楽まで1人で制作するマルチクリエーターであり、結果としてこれまでのゲーム以上に「作家性」が感じられる作品をリリースしてきた。そして、彼らが生み出した傑作が、ゼロ年代の同人STGシーンに火を付けたと言えるだろう。
ZUN氏は東方Projectの名の下に、一連のSTGと著作を積極的に発表してきた。それはその後の同人文化に多大な影響を与えたことはよく知られている。それに比べると、ひらにょん氏の『らじおぞんで』と『Hellsinker.』(2007年)が与えた影響の範囲はかなり小規模だろう。だが、それは強烈なボディブローであり、同人STGシーンにおいては未だに多大な影響力を持っている。その他にもSITER SKAINやPlatineDispositif、RebRank、橙汁、天然素材、四ツ羽根、クロスイーグレットなど、ベテランから新人問わず多くの同人サークルがSTGを発表しており、その勢いは未だに衰えてはいない。
同人STGにおける話題の最新作
そしてエンドレスシラフの『∀kashicverse』。2012年のコミックマーケット83で発表された本作は、同人STGシーンにおいて注目を集めていた最新作だ。エンドレスシラフは本作以前には、『Alone』(2010年)など主にビジュアルノベルをリリースしてきたサークル。以前にもSTGも制作していたようだが、同人STGの中では若手サークルに位置づけられるだろう。
「一人非零和無限未確定不完全情報ゲーム」と仰々しく銘打たれた本作。その名前に劣らず、本作はゼロ年代以降の同人STGシーンが開拓してきた肥沃な大地で純粋培養されたハードコアかつエクストリームなSTGだ。尖りに尖ったそのセンスは、シーンを知らないプレイヤーからするとほとんど理解不能なまでに先鋭化している。PVはその雰囲気をある程度伝えてくれる。だが、一般のゲーマーからしてもその内容は理解し難いだろう。
だが、敷居の高さを見せる反面、実は本作には非常に丁寧なチュートリアルが付いている。そして「∀DVENT」に関しては難易度的にもかなり簡単な部類だ。PVを見てプレイする気になった人は、以下の文章なんて読まずに、今すぐ体験版をプレイしてほしい(ただし、悪いことは言わないからチュートリアルを先にしたほうが良いと助言しておこう)。とはいっても、大量な弾幕や敵弾、過剰な情報量のUI、ぶっ飛んだ操作系などやはり複雑であり、取っ付き難いことは確かである。
体験版のダウンロード - 『∀kashicverse』公式サイト
http://endless-shirafu.com/akashicverse/#content_download
そもそも何を考えてこんな複雑なシステムのSTGを作っているのか? STGとはビデオゲームにおいては、もっとも歴史が深く、かつシンプルなものではないか? さらに言えば、それは時代から見放され、進化の袋小路に入った「死んだジャンル」なのではないか? 昨今の同人STGシーンに馴染みのない人ならば、以上のような疑問を抱いてもおかしくはない。
だが結論から先に言えば、STGは決して「死んだジャンル」ではない。もっと言えば、STGを作ってきた同人サークルの多くは、単なる技術的な制約や懐古趣味を理由にして、このジャンルを制作してきたわけではない。コンソールやアーケードでのSTGのリリースが減ってきた現在もそれは確実に進化してきたのである。そして、その進化がもっとも先鋭的であったのが同人STGだったのだ。
そこで本レビューの責務は、同人STGの進化の極みとしての『∀kashicverse』の魅力を、そのシーンの動向を知らない人にも説明することだ。そこでは本作に影響を与えたであろう同人STGに触れながら、主にゲームシステムの観点から考察したいと思う。実際にはそのデザイン、UI、音楽、世界観など語るべきポイントは数多くある。しかし、読者のモチベーションの制約上、それらは別の機会にする。さらに言えば、『∀kashicverse』に対する影響の有る無しは私が作品から感じ取った推測でしかない。エンドレスシラフがどういう構想で本作を制作したかについてはいずれインタビューなどを行いたいと考えている。
同人STGの2つの進化の行方:攻撃手段とリソース管理の多様化
2DSTGのサブジャンルとして考えれば、『∀kashicverse』はどういったゲームなのだろうか? 縦スクロールであることは間違いないが、いわゆる弾幕系ではない。確かに弾幕と呼ぶべき大量の敵弾が出現するのだが、それらの多くは避けるためにあるのではない! そもそも見てからでは回避不能なスピードの敵弾も多く、「いかに避けるか」というよりも強力な自機によって「いかに(敵弾も含めて)敵を抹殺するか」に主軸が置かれている。CAVEや東方Projectに代表されるような「弾幕系」というジャンルは、言わば「左手のゲーム」である。要するに多くの敵弾をさばくための左手の操作に重みがあり、往々にして右手はショットボタンを押しっぱなしだ。せいぜい緊急回避のためのボムを撃つタイミングが問われるだけだ。
それに対して既存の弾幕系STGから差別化をはかるため、同人STGの中には大きく右手に重心を移してきた作品がある。代表的な事例としては、『Hellsinker.』が存在する。『Hellsinker.』では1キャラクターごとに3つのボタンを組み合わせた攻撃・防御手段が多様にあり、これまた速くて多い敵弾を強力な自機でねじ伏せていくのだ。結果として、弾幕シューティングが持っている受動的な側面を廃し、多彩な攻撃手段による積極的なプレイスタイルが要求されるのだ。
この多彩な攻撃手段という点以外でも、『∀kashicverse』が同人STGの潮流において向かった方向性がある。それは端的に言えばSTGのリソース管理システムだ。敵弾を避けることを強調する弾幕シューティングでは、基本的に残機とボムというリソースを管理することで攻略が達成される。そこでの発想はシンプルであり、ラスボスを撃破するまで残機とボムをいかにキープし続けるかがポイントなのである。
だが同人STGには、この「残機+ボム」というシンプルなリソース管理システムに「否!」と申し立ててきた作品がある。代表的な事例としてはRebRankの『五月雨 ~samidare~(以下、五月雨)』(2002年)と『RefRain ~prism memories~(以下、RefRain)』(2011年)が挙げられる。
「お前ら、前に出ろ。」という威勢の良いキャッチフレーズで知られる『五月雨』は、シールドによって敵弾を吸収することでショットを強化できるシステムを採用。ゲージを使用するシールドと吸収したショットで放つハイパーによって、「残機+ボム」というシステムにはなかったリソース管理のあり方が斬新だった。『RefRain』ではこの方向性はさらに洗練されたものになった。詳述はできないが、通常ショット以外に二系統のリソースを消費する攻撃・防御手段があり、これらのリソースをうまく循環させることによって敵を撃破していくものだ。
これらのRebRankの作品が採用した複数のリソース管理システムは、結果として、画面下で弾幕を回避しつつ、苦手なパターンをボムで飛ばすという「残機+ボム」というシステムの持っていた受動的な要素を廃してきた。そこで求められるのは、プレイヤーが主体的に戦術を編み出し、敵を撃破していくというプレイスタイルだ。
『∀kashicverse』は、これらの同人STGの影響を受けつつ、多彩な攻撃手段と複数系統のリソース管理システムを採用することで、より積極的でアグレッシブなプレイスタイルを実現している。以下では、具体的に本作のシステムを紹介することで、本作がこれら2つの進化の方向性をさらに推し進めたのかを見ていこう。
両手を用いた多彩な攻撃手段「メソッド」
多彩な攻撃手段を実現するという点で『∀kashicverse』が向かった方向性は、「両手を使え!」というものであった。それが本作の一番の特徴である「メソッド」だ。この「メソッド」と呼ばれる特殊攻撃は、右手でコマンドボタンを押しながら左手でレバーでコマンドを入力して、ショットボタンで発動するという代物だ。私はこの「メソッド」のコンセプトを東京ロケテゲームショウなどを通じて開発段階で既に知っていた。正直、STGで昇龍拳コマンド、果てはレバー一回転を要求するというこの途方もないシステムには「マジかよ!」と思った。思いつくだけなら誰でもできる。ある意味では陳腐で馬鹿らしいアイデア。だがエンドレスシラフはこの冗談のようなシステムで素晴らしいゲームを完成させたのである!
これだけ聞くと、本作は格闘ゲームのような繊細なコマンド入力が必要かと思われるかもしれない。だが、実際のところコマンド入力の受付時間は長く、昇竜拳コマンドにしても横・斜め・下と一個ずつゆっくり入力すれば発動する。逆にこのステップごとに入力する形式だとアーケードスティックよりもパッドでのプレイの方がやりやすかった。むしろ一番苦戦したのは、コマンド入力に慣れることよりも、パッドでのボタン配置だった。チュートリアルをひと通り理解した後、コマンドボタンとシールドの開閉ボタンの位置にはかなり悩んだ。
コマンドボタンを押しながら十字キーでコマンドを入力してショットで発動という操作系は、格闘ゲームともひと味ちがう。むしろ、ゲーム起動時に入力する「コナミコマンド」といった隠しコマンドに近い。またこの手のアイデアには「コマンド入力で敵機をハッキングする」というシステムを採用したフリーゲーム『Galax』(2003年)があったことを付け加えておこう。
ゲームに慣れれば、戦況に合わせてプレイヤーが取れる選択肢の多くに驚かされるだろう。コマンドボタンを押している時に発生する「抗体領域」が敵弾を遅くさせることも手伝って、ハイスピードな弾幕と大量の敵群であっても十分に制圧することが可能だ。終始テンションの高い音楽と合わせ、テンポよくコマンドを決めていくプレイヤーは、光と音に合わせて踊るダンサーとして陶酔するのだ。
シールドとメソッドという循環する2つのリソース管理システム
リソースの管理という点で、『∀kashicverse』が採用したシステムは、二系統のリソースを利用するものだ。ひとつはシールドゲージであり、防御の要である。シールドは任意で開閉できるが、シールドを閉じた状態なら多少の被弾はゲージが減るだけでミスにならない。逆にシールドを開くと、ゲージを急速に回復することができるが、被弾すると即ゲームオーバー(実際には難易度によって異なる)。
もうひとつはメソッドゲージであり、上述したコマンド入力で発動できるメソッドのためのリリースだ。メソッドの種類によって当然、コマンドも異なるが、消費されるゲージの量も異なっている。当然だが、強力なメソッドほど多くのゲージを消費する。そのため、強力なメソッドを発動すると、しばらくは敵の猛攻に耐える必要があり、この辺りの駆け引きが攻略上の大きなポイントとなってくる。
この2つのシステムを基本としながら、『∀kashicverse』は『RefRain』と同様に、それらをうまく関連付けることで、二系統のリソースを循環させる。メソッドを使用して消費されたメソッドゲージはシールドを開くことによって回復することが可能なのだ。シールドを閉じた状態でも、メソッドゲージは敵弾のヒットやカスリによって回復するが、シールドを開くことによってその回復量は倍増する。もちろん、シールド開放時はゲームオーバーのリスクがある。だが強力な敵の攻撃に耐えるためには、積極的に強力なメソッドを使用し、シールド開放してゲージの回復を行なうというアグレッシブな循環的プレイスタイルを求められるのだ。
このシールドゲージとメソッドゲージのリソース管理は、ゲームバランスの調整においてもうまく機能している。比較的に自機狙い弾が多い本作の弾幕は、シールド開放によってメソッドゲージを回収できるタイミングが多い。そのため、たとえ強力なメソッドを発動してもゲージを取り戻す機会は頻繁に用意されている。またシールドゲージにしても、ボス戦前などの演出場面でシールドを開放することで回復する場面が多い。そのため、シールドゲージが減ってジリ貧になっても復帰できる可能性は豊富だ。
プレイヤーはリスクとリターンをリアルタイムに計算して、敵の猛攻により効率よく対抗していく。弾幕STGほどの繊細な弾避けは求められないものの、リソースに応じた状況判断が非常に重要になってくる。また構築した攻略パターンから逸脱しても、アドリブで乗りきれる場面も多い。このプレイスタイルと難易度選択の自由度の高さは、本作がカジュアルなシューターからベテランスコアラーまで広く楽しめる内容を担保している、
システム面から見た総評
もちろん、これらの多様な攻撃手段と複数のリソースによって、積極的に攻めていくというスタイルは以前から存在していた。代表例としてトレジャーの『レイディアントシルバーガン』(1998年)がこのスタイルにおけるパイオニアだ。だが、一度に多くの選択肢が委ねられるこのようなシステムは、初心者には敷居が高く、一般のSTGとしては根付かなかったと言ってよい(そもそもSTG自体がマイナーなのだが)。だが、同人STGではゼロ年代以降、この種のスタイルが花を開き、実を結び、さらに洗練されたものになったと言える。『Hellsinker.』や『RefRain』がさらなる開拓を行い、『∀kashicverse』はその正統な後継者なのだ。
『∀kashicverse』は、プレイヤーが積極的に自分のプレイスタイルを作っていくという意味では、非常に自由度が高いゲームシステムだ。しかしながら、ステージにおける敵の出現や弾幕のパターンという意味では、非常にランダムな要素が少ない。そのため、敵の配置と弾幕の種類、ボスの攻撃の順番などは何度も死んで覚える必要がある。初見殺しはもちろん、特定のボスに至っては、通常の攻撃方法が効かないといった初プレイではわからないことがかなり多い。結果として、多様な選択肢の中で主体的にパターンを構築していくというのが、本作の大きな魅力だ。
だが、若干ながらシステム面での問題点が感じられた。第一に多様な選択肢として提示された8つ以上のメソッドが効果的に機能しているかという点。第二にリソース管理のシステムが全ステージを通した大局的なゲームバランスを成り立たせているのかという点だ。
前者に関しては、STGの楽しみとしてスコアアタックという要素があるため、断定は避けたい。だが少なくとも、私がクリアを目的としたプレイでは、まったく使用しないメソッドが2、3存在した。追尾型のレーザーである「Annihilator」(とその派生)、強力なワイドショットの「Menace Rejector」、あとは緊急回避的なボム「Banish Blast」の3点あれば、ほとんどの場面は切り抜けられる。限定的な場面でデコイの「Attractant Other」やド派手な演出共に登場する巨大兵器「Eliminator」を使用するのは楽しいが、必要不可欠ではないのだ。
後者に関しては、シールドゲージもメソッドゲージもステージごとに回復するため、通しプレイにおける戦略性が乏しいことが指摘できる。序盤で残機を稼いだり、ゲージストックを次ステージに温存するという発想がないため、『∀kashicverse』の通しプレイはあくまでも個別のステージを順番にクリアしていくだけになっている。唯一、ストックすることができる「Eliminator」のゲージもそれほど攻略上大きな意味を持たない。
そのため、本作においては、1つのステージ、1つのボスの攻撃パターンに詰まるとゲームの攻略が滞るという問題はある。もちろん、ボムというある意味、初心者救済システムを採用していない『斑鳩』(2001年)などでもその傾向は強い。しかも、残機制ではなくワンミスでゲームオーバーであるため、すべての弾幕やボス戦に明確なパターンを組む必要がある。(コンティニューは無限に可能であるため、とりあえずのクリアは簡単にできるのであるが。)
その他に特筆すべき点
上述したように、今回のレビューでは同人STGで培われた美学がシステム上、『∀kashicverse』でどのように発展してきたかに焦点を合わせた。だが本作の魅力は、ゲームシステムとしてのオリジナリティやバランスだけではない。なんといっても奥行き感を感じさせないフラットなグラフィック、ゲーム・ミュージックとしてか形容しがたいサイバーでドラッギーな音楽、そしてそれらが一体となる演出の数々は本当に圧倒的なクオリティだ。正直なところ、オールクリアした時の脳内は異常事態で心拍数は90以上あったと思う。それくらい本作はインパクトが強いゲームである。ただし、チュートリアルやゲームのボリュームから言えば、それほどやりずらいものではない。ぜひとも本作から同人STGの魅力、そしてSTGが持つ未来を感じてほしい。そして世界的な水準からしてもトップレベルな作品をリリースしている国内の開発者たちにより一層の注目が集まることを期待したい。
また本作にはアーケードのSTGはもちろん、同人STGの傑作のオマージュと思しき演出が数々ある。それらはシーンにコミットしている人間にとっては涙せずして語れない熱い思いが込められている。STGを愛するものなら、間違いなくプレイする価値があるだろう。また日本のインディーゲームの歴史に残る作品としても、本作には5段階評価における4.5クラスの評価を与えたい。
4月に公開される予定のパッチや本作のストーリーや世界観についてはまだまだアップデートの予定があるそうだ。とはいえ、現段階での完成度はかなりのもの。国内のインディーゲームとしてはトップクラスのクオリティだ。流通はAmazonを通したネット販売が行われているため、アクセスしやすい。今後は海外でのダウンロード配信などに期待したいところである。
『∀kashicverse -Malicious Wake-』公式サイト
http://endless-shirafu.com/akashicverse/
エンドレスシラフ公式サイト
http://endless-shirafu.com/
記事中で言及されたSTG一覧
本稿にはいくつか2DSTGへの言及がなされているので、以下にリンクを貼っておく。リリースの時系列に沿って並べている。言うまでもないとは思うのだが、念のために補足しておくと『レイディアントシルバーガン』、『斑鳩』は商業作品である。『超連射68K』(ファミべのよっしん、1995年)
http://www2.tky.3web.ne.jp/~yosshin/
『レイディアントシルバーガン』(トレジャー、1998年)
http://www.treasure-inc.co.jp/products/lp/silvergun/sgindex.html
『斑鳩』(トレジャー、2001年)
http://www.treasure-inc.co.jp/products/lp/ikaruga/ikaruga.html
『らじおぞんで』 - フリーゲーム夢限*1(犬丼帝国、2002年)
http://freegame.on.arena.ne.jp/rank/game/radio.html
『らじおぞんで』 - Vector
http://www.vector.co.jp/soft/win95/game/se313786.html
『東方紅魔郷』(上海アリス幻樂団、2002年)
http://www16.big.or.jp/~zun/html/th06.html
『五月雨 ~samidare~』(RebRank、2002年)
http://www.rebrank.org/products/smd/
『Galax』(masaHG、2003年)
http://www003.upp.so-net.ne.jp/masaHG/glxmain.htm
『Hellsinker.』(RUMINANT'S WHIMPER、2007年)
http://negishiomaru.nobody.jp/
『RefRain ~prism memories~』(RebRank、2011年)
http://www.rebrank.org/products/RefRain/
*1 公式サイトが消滅しているため、参考として掲載