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ファーストインプレッション『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』

Posted on 2012年10月21日日曜日 | No Comments


BeMine 5で入手した『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』。Twitter上でなかなか好評ようなので「試しに……」と思ってプレイしてみると、想像以上におもしろい。いわばダークホース的に私の内的ゲームライブラリに追加された本作を、これはぜひとも伝えねばと筆をとった。

『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』ってどんなゲーム?

主人公は武闘家のChi。彼を操り、四方八方から襲いかかる敵たちを拳と蹴りで倒していくという3人称視点の格闘アクションゲームだ。デフォルトでXbox 360純正コントローラに対応しており、主な操作は以下のようになっている*1
  • 左スティック:移動(Move)
  • X:攻撃(Attack)
  • X(押しっぱなし):乱打攻撃(Snap Attack)
  • A:ジャンプ攻撃(Jump Attack)
  • X+A:必殺技(Chi Moves)
  • B:ブロッキング(Deflect)
  • B(長押し):前転(Evade)
*1 一部のアクションはわかりやすいように別の言葉に置き換えた。以下ではここで使った言葉を使用する。正式名称は()内を参照のこと

チュートリアルではRTやLTにも操作が割り振られて説明されている。ただ、実際には上記のとおり、左スティックと3ボタン(BはRTで代用できる)で操作が可能だ。XとAが攻撃系の操作、Bが防御系の操作と極めてシンプルである。

本稿は、Steam版の『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』を元に書いているが、恐らくXbox 360版(Xbox LIVE アーケードで配信。現在はDLCしか配信していない模様)も基本的には同じだと思われる。Steam版は英語のほか、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語の5ヶ国語を収録している。字幕は自動的に流れてしまうが、あまりストーリーを重視するゲームでもないと思うので、プレイに支障はないだろう。それにイベントシーンは短く、いつでも見直すことができる。

Steamでは、デモ版も提供されている。
ストーリーはステージ開始時にこのような形で描かれる
ゲーム内で確認したところ、記事執筆時点での私のプレイ時間はおよそ3時間ほど。ステージ数から見ておよそ半分あたりに相当するようだ。

『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』公式サイト
http://www.playkungfustrike.com/

簡単そうに見えて、実は奥深いゲームデザイン

序盤は敵が弱いので、適当に攻撃をブロッキングしながら、なにも考えずにボタンを連打して必殺技を出していればクリアできる。しかし、ステージが進んでなかなかクリアできなくなってくると、徐々にこのゲームの骨格が見えてくるようになり、途端にその奥深さに引き込まれる。

いくつか本作を象徴するシステムを紹介しよう。

攻防を兼ね備えたブロッキング

相手の攻撃が当たる瞬間に合わせてブロッキング(操作はB)すると、相手の攻撃を完全に無効化して、相手を無防備な状態にすることができる。おもしろいのはブロッキングに成功すると、相手が緑色に光り、その間に攻撃を加えることで自キャラのライフが少量回復する点。このため、相手の攻撃を読んでブロッキングし、そこから反撃につなげられれば大幅に有利な状況を作り出せる。

さらに以下の特性により、ブロッキングそのものの使い勝手がかなりよい。
  • いつでも出せる
  • すぐにブロッキング判定が生じる
  • キャラの向きは関係なく、タイミングさえ合えばブロッキングできる
  • ブロッキング判定は時間経過以外では消失せず、短時間の集中攻撃であれば再入力不要
  • 飛び道具をブロッキングすると跳ね返せる
  • エフェクト(演出)が心地いい
5人同時攻撃だろうとブロッキングで打開できる
もう一方の防御アクションである前転(操作はB長押し)と比較しても、回避のみの前転とは異なってブロッキングのほうが大きなアドバンテージを生み出せるようになっており、プレイヤーが積極的にブロッキングを狙いたくなるデザインが施されている。

爽快感の高い必殺技

敵に攻撃を当てると左下のオレンジ色のゲージ(Chi Gauge)が溜まっていき、ゲージがいっぱいになると水色の必殺技スロット(Chi Slots)が1つ溜まる。このスロット1つを消費して出せる強力な攻撃が必殺技(操作はX+A)である。必殺技は以下の点が優れている。
  • 強力である
  • 割と連発できる(実は攻撃を受けてもゲージが溜まる)
  • やっぱりエフェクト(演出)が心地いい
なかでも動作の溜めと解放のエフェクト(SE含む)は非常によく、かなり爽快である。それと単純にカッコいい(カッコいいことは大事だ)。
タメ中は画面がモノクロになり、スローがかかる演出が入る
格闘ゲームで超必殺技などを出すときの暗転に似ている
最初から使える必殺技はDragon Kick
余談だがスト2シリーズでお馴染みの「昇龍拳」は、英語で「Dragon Punch」と呼ぶ
また、相手が赤く光る攻撃に合わせて必殺技を当てると、カウンターをとって大ダメージを与えられる。カウンターに成功するとライフが少量回復するようになっており、積極的な使い所がゲーム側で明示されているのは素晴らしい。
カウンター時は赤っぽいエフェクトになり、カッコいい!かなりの決まった感がある

単純な連打ゲーにさせないガードブレイク

こちらの攻撃を相手がガードした場合、続けざまに相手に乱打攻撃(操作はX押しっぱなし)を浴びせて、相手のガードを弾き飛ばすこと(ガードブレイク)ができる。

しかし、ガードブレイクは漫然とボタンを押し続ければいいわけではなく、大抵、相手がこちらの攻撃を読んでブロッキングからの反撃を狙ってくる。相手がブロッキングを狙ってくる直前には、敵の頭上に表示されているXボタンのアイコンがAボタンに変わるので、そのタイミングでAボタンを押せばよい。
ガードブレイクさせてしまえば、そこからコンボタイムの始まり
ただし、操作が遅れると、相手にブロッキングされて無防備な状態を晒すことになる。しかもほとんどの場合、相手は反撃後にバックステップで距離を離してしまうため、こちらからの確定反撃はほぼない状態となってしまう。したがってガードブレイクは絶対に成功させたほうがよい。

とシステム面から3点紹介してみたが、つまるところカッコいいアクションを推奨するお膳立てと、それが決まったときの演出がピッタリとハマっているのだ。

そして、ここまで読めば対戦格闘ゲームっぽいエッセンスがいくつも取り込まれていることも理解いただけたと思う。『DEAD OR ALIVE』シリーズの血を受け継いだ『NINJA GAIDEN』シリーズ同様、『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』も対戦格闘ゲームの血を色濃く受け継いでいるアクションゲームなのである。
多数の攻撃を連続で当てると、相手をピヨらせる(気絶させる)ことができる
相手を浮かして空中コンボや壁や地面への叩きつけ、拾い直しなども可能

バリエーションに富み、プレイのしごたえあるレベルデザイン

システム面での練り込み同様、レベルデザインもかなり優秀だと感じた。

ステージごとに明確なコンセプトがあり、しっかりと攻略の糸口を見つけていかないとなかなかクリアできない。これは攻略時にブロッキング成功によるリスク軽減という側面が大きいことも影響しているだろう。ブロッキング成功のためには、相手の攻撃を読み切る必要があるので、適当にボタンを連打するだけではなかなかクリアできない。

敵のモデルはやや使い回し感がある。一方、ステージを使い回す場合は、同様のコンセプトにならないように気をつけているようで、あまり使い回しは感じさせない。
主人公Chiの師匠Master Mo
亀仙人でもなければ、タン・フー・ルーでもないがやはり強敵である
前後にかなり奥行きのあるステージや
爆発物のあるステージも存在している
4ステージで1チャプターを構成しており、全7チャプター28ステージを収録。1ステージは3分程、長くても5分あれば初見のステージでもクリア(ないしゲームーオーバー)できるはずだ。

不満を感じる部分

全体的にはとてもおもしろいと感じていながらも、少なからず不満を感じている部分もあるので記しておこう。

全体的な説明不足

例えばブロッキング後の反撃でライフが少量回復することや、必殺技でカウンターがとれるといったことは、ゲームプレイ中のチュートリアルでは紹介されない。また、Xボタン押しっぱなしで敵をロックする乱打攻撃が出せるのだが、てっきりこのゲームはボタンを連打しないゲームかと勘違いしてしまった(実際はボタン押しっぱなしの乱打攻撃と、ボタン連打で出る攻撃は異なる)。

How to Playを見ればだいたいは解説されているのだが、なまじっかチュートリアルがあるばかりにHow to Playには目が届きにくい。昨今の過剰なほどに丁寧なゲームに慣れているせいもあるが、攻略にあたって、上述の2点は知っていて然るべき内容なので、やはりフォローが必要だったろう。

ほかにもブロッキング属性を付与した攻撃があるようだし(ブロッキング時同様に自キャラが黄色く光る)、ステージごとにボーナスが設定されていること(特定の条件を満たしてクリアすると一度だけボーナスを貰える。ステージ選択時にYボタンで確認できる)もわかりづらいなど、説明不足であるという印象が拭えない。

お金不足でキャラクターカスタマイズが楽しめない

ここまで紹介していなかったが、本作にはスキルを購入してキャラクターをカスタマイズしたり、アイテムを購入してゲームを有利にしたりすることができる。
空中ダッシュや空中ブロッキングは購入しないと使えない
特定のアイテムを拾うと呼び出して共闘できる
仲間(写真の少林拳使っぽいキャラクター)も購入可能
しかし、スキルやアイテムの購入に必要なお金がさっぱり集まらない。稼ぎプレイが簡単すぎるとなんでも楽に購入できて購入システムの意味がなくなる、といった弊害があるのはわかる。しかし、これではあまりにお金が集まらなさすぎるのではないだろうか。あと25%とか30%でいい。初回ステージクリア時のボーナス2倍でもいいだろう。個人的にはもう一声ほしいというのが率直な感想である。

まとめ

私が最初に抱いた感想は「『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』は現代に蘇った『ファイナルファイト』である」だった。「倒してくれ」と言わんばかりに主人公のもとに押し寄せる敵たち。彼らを拳ひとつで黙らせていく快感は、まさに『ファイナルファイト』そのものである。

初代『ストリートファイター』から生まれた『ファイナルファイト』。
『Dead or Alive』の息吹を細部に宿す『NINJA GAIDEN』。

これらの先輩作品たちと同様、『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』の根底には間違いなく対戦格闘ゲームの血が流れている。そして受け継いだその血脈がプレイのたびに増していく懐の広さとなり、難しいながらも攻略しがいのあるゲームプレイを実現している。

棒立ちの木偶の坊を倒すより、血気盛んな敵たちを磨きぬいた拳法(と己の技術)でブチのめす。そういう感覚が性に合っているプレイヤーなら、『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』こそオススメの1本だ。
2012年10月22日追記
私の場合、当初ゲームが起動せず、ファイルの整合性のチェックや再インストールを行なっても問題解決できなかった。そのときに試した対処法を載せておく。起動しなくて困っている人は以下の方法を試してみてほしい。

私が試した対処法
  1. インストールフォルダ(デフォルトでは、C:\Program Files\Steam\steamapps\common\kungfustrike)にあるConfig.exeを起動し、解像度を変更する
公式で推奨されている対処法

『Kung Fu Strike: The Warrior's Rise』公式サイト - Troubleshooting Guide
http://qoocsoft.com/en/troubleshooting-guide/
  1. インストールフォルダ内をたどり、config.xmlを開く(デフォルトなら場所は、C:\Program Files\Steam\steamapps\common\kungfustrike\Content\data)
  2. 以下の3箇所を書き換える
    • <Windowed>false</Windowed> → <Windowed>true</Windowed>
    • <MSAA>true</MSAA> → <MSAA>false</MSAA>
    • <Verbose>1</Verbose> →  <Verbose>3</Verbose>
  3. 再起動する
  4. それでも起動しないなら、先と同様にconfig.xmlを開き、以下の箇所を書き換えて起動する
    • <DXInputDisabled>false</DXInputDisabled> → <DXInputDisabled>true</DXInputDisabled>
公式で推奨されている対処法を行えば、詳細なログファイルが生成されるようなのでこれで起動しなかった場合は、ログファイルをサポートに送れば問題の解決が図れるかもしれない。

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