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デモレビュー『Gorogoa』

Posted on 2012年10月12日金曜日 | No Comments


IndieCade 2012で颯爽と現れた(というかたまたま、このタイミングで私が知ったのだが)『Gorogoa』の出来が非常によいので、デモをプレイした感想をまとめてみようと思う。

関連記事:
ショートインタビュー『Gorogoa』
http://nydgamer.blogspot.jp/2012/10/gorogoa_14.html

ポイント・アンド・クリックをさらに高めたスライド・アンド・ドロップのアドベンチャー

Jason Robertsという個人によって開発されているようで、プログラムもグラッフィクも恐らく単独でこなしているものと思われる。楽曲は音楽サービスMagnatune.comにて提供されているものを使用しており、クレジットに曲名と作曲者、収録アルバムが明記されている。

ゲーム内容はと言うと、いわゆるポイント・アンド・クリックと呼ばれるタイプのアドベンチャーゲームである。古典的なゲームであるこのジャンルは、言わずもがな世界観の見せ方が重要になってくることが多いのだが、『Gorogoa』はビジュアルのみならず、ゲームメカニックの方面からもアプローチを加えて、本作を独創的な作品たらしめることに成功している。
線の細い写実よりのビジュアル。細部まで描き込まれたイラストが動くのは、見ていて楽しい
どんなゲームなのかはトレーラーを見てもらったほうが早い。ただし、トレーラーを見てしまうと、序盤の解法がわかってしまいかねないのには注意が必要だろう(以下に続くゲーム内容の記述も同様である。ただし、トレーラーは流れが早いので、何が起こっているかわからないかもしれない)。なのでビジュアルに惹かれた人はデモ版をプレイするのをオススメしたい。


ゲーム内容の詳細に入ろう。

本作では画面が4つのタイルにわかれており、それぞれのタイルをドラッグ・アンド・ドロップ(スライド・アンド・ドロップと形容してもいいかもしれない)することで好きな場所へと移動させられる。タイルは重ね合わせることが可能となっており、特定の組み合わせでタイルを重ねるとゲームが進展することがある。つまりポイント・アンド・クリックだけではなく、タイルのスライド・アンド・ドロップも使って進めるゲームなのだ。
例えば、トレーラーの0:12あたりのシーン
左下のタイルを、右上のタイルに重ねると…… 
扉から出てきたはずの少年が、建物から出てくるシーンへと展開する
複数のシーンを関連するオブジェクトや動作で結びつけるという手法はテレビCMなどで見かけるものだと思うのだが、実際にプレイしてみると、この感覚は独特でとても刺激的だ。

「何が起こるか」をある程度予想してクリックするポイント・アンド・クリックとは異なり、「何かが起こるとわかっているけど、何が起こるかはわからない」というプレイ感覚を生み出しており、先の読めない展開が続く。

それに加えて、ゲームは文字情報がほとんどないままに情景描写だけで進んでいくため、説明の少ない不可思議な世界観とスライド・アンド・ドロップのもたらす奇妙な合理性とが相まって、その行く末がどうなるのかとても気になる。

タイルの重ね合わせ以外にも、タイルを移動させると下から新たなタイルが現れたり、複数のタイルをつなぎ合わせると大きなイラストが完成して動き出すといった挙動もあり、触って見て楽しむポイント・アンド・クリック型のアドベンチャーをさらにワンランクアップさせたような味わいとなっている。
トレーラーの0:10頃に登場するシーン
左上のタイルを、別の場所(動画では左下)に移動させると……
移動させたタイルの下(動画では左上)から新たなタイルが現れる
また、タイルによっては拡大や縮小することも可能で(拡大率や縮小率、その場所は固定)、さらに深みのあるゲームプレイを実現している。
0:19くらいの右上のタイルに、リンゴの木があるシーン
タイルの移動や拡大・縮小を組み合わせて大きなイラストにすると、
カラスが飛び立ち、リンゴが落ちる
冒頭でも述べた通り、IndieCade 2012にてVisual Design Awardを受賞している*1のにも頷ける。緻密なイラストが単にアニメーションをするのではなく、一定の合理性を保ちながらシーンが展開していく様を見れば、なるべくしてなった結果と言ってもまったく過言ではないだろう。

*1 IndieCade 2012「IndieCade 2012 Award Winners」
http://www.indiecade.com/2012/award_winners/

ヒント機能は直接的で貧弱だが、不満は残り難い

救済措置としてクリックできる場所を直接表示する機能がついている。これはあまりに直接的すぎて個人的に好ましくないと感じている。また、ポイント・アンド・クリックとは異なり、この機能ではタイルを移動させるタイプの解法がわからない。ヒントの質はあまり高くないだろう。
ウィンドウ上部のShow Hotspotをオンにすると、
クリックできる範囲が緑の枠で囲まれる
ただ、意図したものかどうかはわからいものの、ポイント・アンド・クリックのアドベンチャーにありがちな小さなクリッカブルポイントを探すような不毛なシーンがないのは非常によい。

タイルを移動させる解法も、重ね合わせが必要となるシーンでは透過される部分が真っ白になっていたり、イラストをつなぎ合わせるシーンではちゃんとタイル同士がくっつくようなイラストになっていたりと、少なからずヒントとなる情報が画面上には存在している。このため、一般的なポイント・アンド・クリックに比べると解法に対して不満の残るシーンがかなり少ないのもよい点だろう。

今後の予定

デモ版は30分~1時間もあれば終わるもので、公式サイトから無料でダウンロードできる。一応、セーブ機能もついているので、この手のアドベンチャーが苦手で時間がかかりそうだという人でもあまり心配する必要はない。

『Gorogoa』公式サイト
http://gorogoa.com/

リリースについては、2013年後期を予定している。デモ版はWindowバージョンしかないものの、リリースプラットフォームについては、Win / Mac、それにモバイル向けにもリリースを考えているようだ。

個人的には非常に期待のできる作品だと感じており、リリースが楽しみである。予約購入が始まれば、迷わず予約することだろう。

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