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Kickstarter My Heart『The Girl and the Robot』

Posted on 2013年11月23日土曜日 | No Comments

締め切りギリギリでの駆け込みの記事になってしまうが、Kickstarterで支援募集中の『The Girl and the Robot』というアクションアドベンチャーゲームについて。
『The Girl and the Robot』は、カナダのモントリオールのデベロッパFlying Carpets Gamesが手がける三人称視点のアクションアドベンチャーゲームだ。

タイトルにもある通り、主人公は小さな少女「The Girl」と彼女を庇護する(「庇護」とは言ったものの、自動操縦ではなく、プレイヤーが操作を行う。詳細は後述)「The Robot」。The Girlが、The Robotと協力しながらEvil Queenの治める古城から脱出するといった物語となっている。

ここまで読んでピンと来た人もいることだろう。本作は、開発の中心人物であるSalim Larochelle氏がMy Favorite Gamesのひとつとして挙げている『ICO』の影響を受けている。Kickstarterのプロジェクトページにも『ICO』、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、そしてスタジオジブリの名が挙がっている。

『The Girl and the Robot』公式サイト
http://flyingcarpetsgames.com
『The Girl and the Robot』 - Kickstarter
http://www.kickstarter.com/projects/2039811773/the-girl-and-the-robot
個人的な感覚では、「『プリンス・オブ・ペルシャ』の世界で『ICO』」というのが最も近い

ゲームプレイ

Kickstarterでの支援募集を始める前から、Desuraや公式サイトでアルファ版($9以上の支援でも入手が可能)のリリースが行われており、そのアルファ版の感想をザッとまとめておく。

ゲームのコアメカニックは、The GirlとThe Robot、異なった特性を持つ2人のキャラクターを切り替えて、パズルや戦闘を切り抜けていくというものだ。2人のキャラクターを同時に操作することはなく、その都度、操作キャラクターを切り替えてゲームを進めていくスタイルとなる。
The Robotは最初、牢に閉じ込められている
冒頭で手に入る魔法のペンダントでロボットを操作できるようになる
 The Girlは戦闘には向かない代わりに(敵に触れると直近のチェックポイントから復帰)身軽で、離れた足場をジャンプして渡っていくことができる。一方のThe Robotは戦闘能力があり、うまく戦って敵のRobot(プレイヤーの操作するThe Robotに酷似)を退けることができる。
The Robotは剣で戦えるほか
弓矢も使用可能。矢の本数に制限はない
The Robotの受けたダメージを魔法回復させるThe Girl
The Robotは、肩の上にThe Girlを乗せて移動することができる
アルファ版でプレイできる範囲に出てくるパズルはさして複雑なものではなく、スイッチの起動をキーとしたものが主だ。例えばThe Girlがエレベーター型の仕掛けに載り、The Robotがエレベーターを起動させる。エレベーターで移動したThe Girlが、同様にエレベーターを起動してThe Robotを進めてやる、といった具合。いかんせん序盤ということもあって、バリエーションなどは判別がつかない。
こんな感じでスイッチの仕掛けがある
『The Girl and the Robot』は、『ICO』の影響を受けていることもあってかゲーム中にダイアログの類がほとんど出てこない。『ICO』は2人のキャラクターが手をつなぐ、という行為が強烈に印象に残るゲームであったが、その方向性での力強さを出すのはなかなかに難しいと想像している。しかし、互いに言葉が通じない(発しない)、か弱い少女と剛力なロボットという関係性はやはり味わいのある設定でもあり、ストーリーと演出に私は期待したい、と思っている。

さてFlying Carpets Gamesはカナダの開発会社であるが、開発に関わる人にはイギリスや日本の人も含まれている。また、キャラクターデザインやコンセプトアートを手がけているもなかさんは日本の方で、非常に魅力的な画を描いている。Kickstarter期間中は【今日のGnR】というタグつきで1日1枚画を投稿しているのでそちらを見るのもオススメ。


Salim氏へのショートインタビュー

最後に。開発者であるSalim Larochelle氏からメールで頂いた返答を載せておく。訳は私のもので不確かなものもあるかもしれないので、英語が読める方は併載した原文を読んでほしい。

――まずはSalimさん自身の自己紹介をお願いします。
Salim Salim Larochelleです。Flying Carpets Gamesという名の小さなゲーム開発会社の設立者で、そこでゲームデザイナーをやっています。以前はGameloftというiPhone向けのゲームを多数手がけた会社で働いてたんですが、もっと自由でクリエイティブなゲームを作るために2012年にそこを離れて、自身のスタジオを設立しました。現在手がけている『The Girl and the Robot』は、ほかに5名が関わっています。
<原文>
Hello, my name is Salim Larochelle, I’m a game designer and also the founder of a  little game studio called Flying Carpets Games. I used to work at a game company called Gameloft who mostly makes iPhone games, but I left in 2012 to start my own studio and make games with more creative freedom. I’m now working on The Girl and the Robot with 5 other people.
――『The Girl and the Robot』の紹介をお願いします。
Salim 『The Girl and the Robot』は、PC、Mac、Linuxを対象にした三人称視点のアクションアドベンチャーゲームで、プレイヤーは幼い女の子となって悪の女王が治める城から脱出を試みるという内容です。The Girlは道中で、魔法のペンダントによってコントロールが可能な不思議なロボットに出会います。

本作のおもしろいところは、プレイヤーがThe Girlを操作していても、必要に応じてシンプルなボタン操作だけで、ロボットの操作に切り替えることができる点です。先へ進むためにはThe GirlとThe Robot、双方の能力を駆使していく必要があるんです。
<原文>
The Girl and the Robot is a third person action/adventure game for PC, Mac and Linux where you take on the role of a young girl trying to escape from a castle ruled by an evil queen. On her way, the girl meets a mysterious robot that she can control by using a magical pendant.

What make this game interesting is the fact that the player controls the girl but he can switch his control to the robot at any time by a simple press of a button. The player will need to use both the girl and the robot’s abilities to progress.
――『The Girl and the Robot』を開発するにあたり、大切にしていることはなんですか。
Salim もしもひとつだけ選ぶとしたらだけど、いかなるゲームにおいてもいちばん大切にするのは、あなたが楽しんで、それを気に入ってくれることでしょう。開発にゲームを作る楽しさがあるときこそ、プレイヤーがそれを楽しんでプレイするチャンスがたくさんあると思います。

2番めに大切なのは、開発にあたってビジネスの側面を過小評価しないことです。
<原文>
If I can only choose one, I would say that the most important thing when making any  game is to love what you are doing and to have fun. If the developers have fun making a game, there is a very good chance that the player will have fun playing it.

A second important thing would be to not underestimate the business side when making a game.
――『The Girl and the Robot』はゲーム中のテキストがまったくないゲームなのでしょうか。もしもそうだとしたら理由を教えてください。
 Salim そうですね、『The Girl and the Robot』はほんの少しの言葉しかありません。ダイアログで語るよりも、ゲーム環境やキャラクターたちのアクションに語らせることを望んでいるというのが最たる理由です。それに予算の都合も効果的にクリアできると思っています。
<原文>
Yes, there is very few words in The Girl and the Robot. The main reason is because we wanted to tell the story with the actions of the characters and also with hints in the environment rather than spoken dialogue. I think this can a very effective way to tell a story while been easy on the budget.
――あなたのプロジェクト(『The Girl and the Robot』)に、モナカさんが加わった経緯を教えてください。
Salim アートについては明確に望むものがあったので、そこに合致するコンセプトアーティストを探すのに何週間もかけました。最初にもなかさんの描くものを見たとき、すぐにそれに惚れ込んで、ゲームに完全に沿うものはこれだと思いました。もなかさんにコンタクトを取ってゲームのストーリーを伝えたところ、彼女もそれを気に入ってくれて、アートスタイルがよく合うことに同意してくれました。私はカナダ人で、もなかさんは日本人ですが、彼女と一緒に仕事に取り組むのは全然難しくないですし、とても楽しいです。今後も継続して彼女と一緒に取り組めることを切に願っています。
<原文>
For the art, I wanted something very specific so I spent many weeks looking for a proper concept artist. When I first saw Monaka’s style for the first time, I loved it immediately and I knew her style was perfect for the game. After contacting Monaka and telling her about the story of the game, she loved it and she agreed that her style would be a good match.  Even if I’m  Canadian and she is Japanese, working with her is so easy and fun; I really hope to continue working with her in the future.
――『The Girl and the Robot』の世界観や、楽曲はアラビア風(例えば『プリンス・オブ・ペルシャ』)だと思いました。モチーフにしている世界観はありますか。
Salim 『The Girl and the Robot』は、ヨーロッパや中東を含む世界中のおとぎ話からインスピレーションを受けています。それを知って、コンポーザーのEikoさんがアラビアンの雰囲気を少し試してみて、結果とてもうまく世界観に合うものが生まれました。
<原文>
Yes, The Girl and the Robot take inspiration from fairy tales from around the world including Europe and the Middle East. Knowing that, our music composer Eiko tried to experiment with a slight Arabian feel and the result fit very well with the game’s setting.

――日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
Salim 『The Girl and the Robot』は世界中のプレイヤーが楽しめるゲームだと思います。日本のたくさんのプレイヤーにもプレイしてほしいですし、そのサポートを続けていきたいです!
<原文>
I think that The Girl and the Robot is that kind of game that can be enjoyed by players from around the world. We hope that many Japanese players will also enjoy our game and continue to support us!
実は、Salim氏は日本に住んでいたこともあり、日本語もかなり堪能である。Kickstarterのページや公式サイトにも日本語が用意されているくらいである。日本からのKickstarterの支援もしやすくなった(クレジットカードに対応したっぽい)ので、ぜひ支援を検討してみてほしい。


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