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インディーゲームの小棚:Shelf#01『Deadlock』

Posted on 2013年1月30日水曜日 | No Comments


「最近のインディーゲームは、数が多すぎてついていけない」とお嘆きのアナタに個人的にオススメしたい、個人やサークルといった単位で開発されたオリジナルゲームを紹介する連載、「インディーゲームの小棚」。記念すべき第1回は、フランスの5名の開発者によって開発されている、ファーストパーソンプラットフォーマー『Deadlock』を紹介する。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

『Deadlock』は、機械仕掛けの塔をただひたすら登っていくというゲームだ。ストーリーは一応あるものの、ほぼないと言っていい。そこに塔があれば、深い理由などなくともそれを登りつめたいと思うのはゲーマーとしてごく自然な欲求なのだから、ストーリーがなくても気にすることはなかろう。なにより「眼前の壁を乗り越える」というのは、ゲーマーが等しく持っている性なのである。
唐突に上空からプレイヤーが落下してくるところから、ゲームは始まる
操作は一般的なFPSのそれにならう。WSADで移動、スペースキーでジャンプ、マウス操作で視点移動、左マウスボタンで射撃といった具合だ。右マウスボタンでスコープを覗きこむこともできる。

一般的なFPSのそれと比較すると、ジャンプに独特の浮遊感があるのが特徴だ。ジャンプ中にスペースキーを押すと二段ジャンプができる。さらにステージ上にあるジャンプパッドのような噴出機構に触れることで大ジャンプが行なえる。これらを駆使して塔を登っていくというのが本作の基本的なゲームプレイとなる。

ジャンプパッドは、弾丸を撃ちこむことによってオンオフを切り替えることが可能で、進行を妨げるように設置されているジャンプパッドをオフにしたり、足元のジャンプパッドをオンに切り替えて大ジャンプできるようにしたりすることで道を切り開いていく。
ジャンプパッド。撃つとオンオフが短時間切り替わる
このまま進むと左側に吹き飛ばされてしまうので、ジャンプパッドを撃って停止させなければならない
グラフィックのクオリティは、この手のジャンルのインディーゲームとしては高い部類にある。銃を構えていない状態でもスコープに映った景色が変容するといったように、細かな部分まで気が配られているという印象。また、黒を基調とした開放的なビジュアルデザインは、初代『Portal』の白い閉鎖空間とは違った趣で、洗練された美しさがある。

射撃やジャンプの際に生じるメカニカルな音や、道中に現れるキューブ型の敵Troopersの話し声(『Portal』のGLaDOSを想起させる。以下に貼った動画がわかりやすい)などサウンドエフェクトが秀逸である。特にジャンプパッドで大ジャンプする際の音がかなり心地よい。ちなみに5人いる開発者のうち2人がサウンドデザイナーのようで、いずれも『JUST DANCE』シリーズに関わった経歴を持っている。『Puddle』にも参加している模様。
ゲームモードは1つしかなく、銃の残弾数が実質的にほとんど意味を持たないなど、現状、荒削りと言わざるを得ない部分もある。しかし、それでも大ジャンプで空中を行き来するシンプルでダイナミックな爽快感あふれるゲームプレイは、そこに光る何かを感じさせる。なかでも空中制御と素早いエイミングを駆使して進んでいく後半のパートは、やりがいのあるもので、さらなるボリュームアップを望みたくなる出来栄えであった。
終盤にある、花のようなオブジェクトを飛び回って進むパートがいちばんおもしろかった
スタート時に自分がいた場所が遥か彼方に小さく見える達成感
パズル要素はあるものの、『Portal』フォロワーが陥りがちなパズル的な難しさはほとんどなく、ある程度気軽にプレイできるのは利点だろう。チェックポイントが細かく存在しているうえに(後半はやや長めのスパンになる)、リトライ速度がほぼ最速と言えるレベルなのでプレイアビリティも高い。一方でジャンプマップを愛好しているプレイヤー、『InMomentum』や『Mirror's Edge』、『Portal』といったゲームの熱心なプレイヤーには物足りないかもしれない。

『Deadlock』は、もともと2012年開催のゲームジャム「7 Days FPS」生まれのタイトル。2012年末にはUluleというクラウドファンディングサービスで開発資金を募っており、目標額の約4000ドルに対して、6000ドルの資金を得ることに成功している*1

*1 Ululeの金額表記が日本円であるため、記事執筆時の為替で算出したおおよその額をドル表記している
現在、公開されているのは無料のデモ版。プレイ時間は30分~1時間程度だろう。Unity3D製で、Windowsのほか、MacやLinuxにも対応している。クラウドファンディング時の情報を鑑みると、製品版は$5~8くらいの価格で提供されるものと思われる。製品版では重力反転や消える床といった要素を付加してゲームプレイが拡張されるようだ。しかしながら、当初2013年2月に予定されていた製品版のリリースは続報に乏しく、予定通りにリリースされるのかは不明である。いずれにせよ、製品版での更なる飛躍に期待したい。(Mozu)

『Deadlock』公式サイト
http://www.deadlock-game.com/
Ulule - 『Deadlock』のプロジェクトページ
http://www.ulule.com/deadlock/

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