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インディーゲームの小棚:Shelf#05『孤高のアオイロ』

Posted on 2013年2月27日水曜日 | No Comments

だんだん暖かくなってくるのを感じている矢先にハードめな風邪に罹ってしまった筆者がお送りする「インディーゲームの小棚」第5回は、時間止めの不思議な能力を使って山を越えていくアクションパズルゲーム『孤高のアオイロ(体験版)』を紹介する。そういえばそろそろ登山をしたくなってくる季節ですね。

※本連載「インディーゲームの小棚」は、4Gamerで連載されている「インディーズゲームの小部屋」のタイトルとコンセプトを真似たものですが、「インディーズゲームの小部屋」との関連は(私が一方的にファンであるというだけで)一切ございません。

4Gamer - インディーズゲームの小部屋
http://www.4gamer.net/words/001/W00176/

本作の開発はオリジナルゲーム制作サークル、ほしさらい。同サークルは、チャレヒト氏とせせき氏の2人で構成されているサークルだが、それぞれが異なったゲームを作るというちょっと変わった開発スタイルを採っている。今回紹介する『孤高のアオイロ』は、せせき氏による作品である。

舞台は科学が発達した世界。エネルギー問題により、クシノ連合とヨリノという2国が争っているという設定だ。ストーリーは主人公の少女アオが自身の「作者」を探して山を越え、クシノ連合へと北上するというもの。正体不明のアオと、「作者」という言葉の意味、作中で時折語られる「兵器」という名の存在、行動を共にすることになる青年テンと謎を呼ぶストーリーだが、現在リリースされているのは体験版のため、すべてが語られるわけではない。公式サイトの掲示板では「今後、体験版を数度リリースしてから完成版となりそうだ」という旨をせせき氏自身が語っている。

ほしさらい公式サイト - 立ち飲み屋ほしさらい
http://hosisarai.bbs.fc2.com/

カーソルキーで移動、↑でジャンプ、Zでアクション(ダッシュ、話しかける)と基本的な操作はシンプル。筆者はXbox 360パッドを使用して、キー配置を少しだけ調整しプレイした。アクション要素の強いゲームなのでゲームパッドでのプレイのほうがよいと思う。

ゲームはフィールドを探索しながらよじ登ったり、降りたり、あるときは飛び移ったりしながら先へと進んでいく2Dアクションパズル。壁面にしがみついて昇り降りすることができ、ジャンプでは辿りつけない高所へ登ったり、滑落死を防ぐため(あまり高いところから落ちるとゲームオーバー)に壁面をつたって降りるといったことが可能になっている。壁面は触れるだけで自動的にしがみつくので、とてもプレイしやすい。
足場の先端で↓を押すか、伏せ移動で近づけば自動的に壁面へと移動する
壁と反対方向のカーソルキーを押すとジャンプで飛び移れる
このとき、Zを押しているとさらに遠くへ跳べる
根幹部は極めてシンプルな『孤高のアオイロ』だが、フィールドを登り降りしつつ進んでいくのは実に心地がよい。プレイヤーの息が上がることこそないものの、まるで本当に山を登るかのような感覚が本作にはある。せせき氏はよっぽど山登りが好きなのではないかと思う。

本作を特徴づけるのがアオの使う「時間停止の能力」だ。と言っても体験版でプレイできる範囲では、時間を止めるために使う場面はほとんどない。実際にはこの能力が副次的に持つ「存在を反転させる能力」がメインとなる。
時計のエフェクトが発生した部分が、能力の効果範囲となる
能力はXで行使可能で、使うと青い小さな弾が発射される。弾が当たった場所から一定範囲内は時間が停止し、同時に色の鮮やかなオブジェクト(茂み、レンガの壁など)は存在が消失する。この能力があれば行く手を遮る壁を一時的に消し去り、先に進むことができる。また、「存在を反転させる能力」と言ったとおり、逆に存在しないものを実体化することも可能。能力で実体化できるものは、普段は半透明で表示されている。その場所に能力を行使して、実体化させれば新たに足場を作るようなことが可能になるのだ。ただし、能力の効果はあくまでも短時間。時間内にその場所を突破する必要があり、要求されるアクションの技量は少し高めとなっている。
←か→を押しながらCで壊れた方位磁針を見る
コンパスが指し示すのが進むべき方角だ
セーブは、イベントの発生する特定のポイントまで達すると自動でセーブされる(保存数は1)。セーブポイントまではそれなりの長さがあるのだが、ゲーム中盤からは自分の好きな場所にチェックポイントを設置することができるようになる。道中でZを押しながらCを押すとその場に石を積み上げて、以降はこれをチェックポイントにできるという仕組みだ。『スペランカー』並とは言わないまでも、とにかく滑落死の多いゲームなのでこれは非常に重要。チェックポイントはセーブポイント間に1つしか設置できないが、それがプレイをいっそう生々しいものにしており、自身で攻略しているという感覚が非常に強い。作品の持つフレーバーと合った、実にいいシステムだと思う。

冒頭でも述べたとおり、『孤高のアオイロ』はまだ体験版であり、現在は無料で公開されている(最終的に有料となるのか、フリーソフトとして公開されるのかは不明)。プレイ時間は3~5時間ほどだろう。

なお、『孤高のアオイロ』には難易度適正パッチが存在している。私はday3の正午あたりまで進めたが、あまりの難易度にこのパッチを適用してプレイした。初期バージョンの難易度はかなり高めなので、腕に自身がある方以外にはパッチを当ててプレイするのを推奨する(個人的な体感だと、パッチで2段階くらい難易度が下がる)。なお、公式ブログには「チェックポイントの再設置ができるようになる」と記載されていたのだが、私の環境ではチェックポイントの再設置ができないので、現在公開中のパッチでは未実装なのかもしれない。
2013年3月7日追記
2013年2月27日に公開されたバージョン1.01では、チェックポイントの再設置が可能になった。ゲームオーバー時、または設置したチェックポイントの近くでCを押しながらZを押すことでチェックポイントを解除し(解除自体は当初からできた)、新たにチェックポイントを設置すればよい。なお、このバージョンでは、トライアルモードも部分的に搭載されている。

ほしさらい日記 - 最近の報告
http://hosisarai.blog.fc2.com/blog-entry-152.html
忘れ去られた鉱山都市など、「山」というくくりがありながらも、
単調にならないようにロケーションには気を使っている印象
実際の風景を使った背景や鳥のさえずり、川のせせらぎといった環境音が織りなす空気感にも山登りのフレーバーをたくさん詰め込まれた『孤高のアオイロ』。アクションには不可欠なダッシュやジャンプの気持ちよさ、壁の昇り降りで得られるフィールドへの征服感、時間停止の能力で解くやりがいのあるパズルと、全体的に質の高いアクションパズルに仕上がっている。春を迎えて実際に山登りするまえに、本作で山登りの気持ちを味わってみてはいかがだろうか。

『孤高のアオイロ』公式サイト
http://hosisaraigame.web.fc2.com/game/sskgame/aoiro.html
ほしさらい公式サイト
http://hosisaraigame.web.fc2.com/

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