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News Pick Up 2012年6月第4週

Posted on 2012年6月23日土曜日 | 1 Comment

インディーゲーム界隈のニュースを、俺個人の趣向でピックアップして適当に紹介するよ!

※英語はまだまだ勉強中なので、正確な情報を知りたいときは原文を読んでね。
※なるべく正確な情報を掲載したいため、誤りなどの指摘がありましたらご連絡ください。

『スキタイのムスメ:音響的冒剣劇』リリース。英語版ユーザーは無料でアップデート 2012/06/21

iOSで人気を博し、春先にSteamでPC版もリリースされていた『Superbrothers: Sword & Sworcery EP』の日本語版がリリース。日本語版では『スキタイのムスメ:音響的冒剣劇』にタイトル変更となった。

『Superbrothers: Sword & Sworcery EP』は先日のThe Humble Indie Bundle Vに収録されたタイトルだったこともあり、英語版を入手済みのユーザーからは不安の声がちらほらと聞こえていた。しかし、Steam版はアップデートで日本語が追加され、それらは杞憂に終わった。現在ではリージョンロックも解除され、日本からもSteamで普通に購入できる。

起動したのに英語版のままだという方へ
以下の手順でちゃんと日本語になるので安心されたし。Steamのライブラリから『Superbrothers: Sword & Sworcery EP』を右クリックし、プロパティを開く。言語タブから使用言語「日本語(Japanese)」を選択する。あとは普通に起動すればOK。

なお、今回の日本語版リリースにあたっては、リリース記念パーティーが開かれたり(開発者も登場した)、豪華作曲家陣を揃えてリミックスアルバム『スキタイのリミックス:冒剣的音響劇』が作成されたりと、かなり手の込んだ仕掛けがなされた。

日本語版のローカライズを手がけた8-4(ハチノヨン)は、今回がインディーゲームのローカライズ3本目*1。価格設定や(自社としては特別いいことのなさそうな)言語アップデートと、対応に好感が持て、今後に期待がかかる。

*1 過去のローカライズ作品:Android版『ねじ巻きナイト(Wind-up Knight)』とiPad版『Aquaria』。後者はSteamでもリリースされているが、日本語化されているのはiPad版のみ

ソース:
『スキタイのムスメ:音響的冒剣劇』公式サイト
http://sworcery.jp/ http://sukimusu.jp/
『Superbrothers: Sword & Sworcery EP』Steamストアページ
http://store.steampowered.com/app/204060/
『スキタイのリミックス:冒剣的音響劇』公式ページ
http://sukimusu.jp/remixalbum/
8-4 会社実績
http://8-4.jp/gameography/?lang=ja

『Orcs Must Die 2』リリース日決定 2012/06/20

2011年にXbox LIVE アーケードとPCでリリースされた、TDテイストのトラップ&アクションTPS『Orcs Must Die』。その続編『Orcs Must Die 2』が2012年7月30日に決定した。本作の主な特徴を挙げる。
  • 物語は前作のエンディングの2日後を描く
  • シングルはもちろん、COOPに対応したキャンペーン
  • 新たなる敵たち、もちろん新トラップも登場
  • リプレイ時にもスカルが入手できるように、アップグレードシステムを見直し
コンテンツの拡充に加えて、待望のCOOP実装、初心者やアクションが苦手なプレイヤーにも優しく再構築されたスカルシステムと、続編としては非常に手堅い仕上がり。公開されたスクリーンショットを見ると屋外のロケーションもあるようだ。

評価の高かったレベルデザインをどこまで磨き上げられるかを個人的には気にしているが、そんなことを気にする前に前作をクリアしておきたい。

前作『Orcs Must Die』所持者には、『2』においてボーナスコンテンツ(exclusive content )がアンロックされる模様。これが前作所持者のみが手に入れられるものなのか、単にアンロックが早まるものなのか、後々リリース予定のDLCを先行入手できるのかは定かではない。

今作のプラットフォームがPCだけとなっているのには注意が必要。このため、吹き替えまで入っていた前作とは異なり、日本語に対応しない可能性が高い。前作はゲーム部分をいじるようなことがほとんどできず、ユーザーによるテキスト修正も弾かれたように記憶しているので、『2』の日本語化も難しいと思われる。

今のところ、価格は未定。

ソース:
『Orcs Must Die 2』公式サイト
http://www.robotentertainment.com/games/omd2

IGF大会委員長「過去のファイナリストの再エントリを認めない」などいくつかの方針を明らかに 2012/06/19

IGFの大会委員長(chairman)を務めるBrandon Boyerが、今後のIGFに関するいくつかの方針を明らかにしている。
  • 過去にファイナリストとなったタイトルの再エントリ不可
  • モバイルカテゴリの撤廃
  • 各部門のファイナリストを5作品から6作品に引き上げ
  • Student Showcase のファイナリストに与えられる奨励金(stipend)を$500から$1000に増額
やはり重要なのは、既存のファイナリストがエントリできなくなったことだろう。『Fez』が2008年、2012年と2度にわたってファイナリストに選出されており、ユーザーなどから批判の声が上がっていたところだった*2。正当な協議を目指すなら、然るべき方針転換であろう。また、選外佳作については再エントリが認められる模様(This rule also does not apply to any of our "honorable mentions".)

部門ごとのファイナリスト枠が拡充されて6作品となる一方で、Student ShowcaseとNuovo Awardについてはこれまでどおり8作品が選出される。

「We'll be opening IGF submissions a bit later than our usual schedule.」というのも記載されていたのだが、いまいち意味がわからなかったので上記には記載しなかった。

*2 近年急激に規模を拡大してしまったIGFに、元々あった内輪向けの体質が抜けきれなかったためらしい(俺も詳しく知らない)

ソース:
IGF公式サイト「Letter From The Chairman: Welcome Back (Soon!) For IGF 2013」
http://igf.com/2012/06/letter_from_the_chairman_welco_1.html

『Nitronic Rush』#4アップデート来たる。ARGの動きも 2012/06/19

天井や壁までも走り抜ける近未来を舞台にした(そして俺が大好きな)フリーのレースゲーム『Nitronic Rush』。先月末にミニアップデートをしたばかりの本作に、かねてから予告されていた大規模アップデート「Commander Update」が来ている。

主な変更点は次の通り。このほかにバグ修正など。
  • ハードコアレベルを2つ追加
  • コミュニティレベルを7つ追加
  • コミュニティのアイディアから生まれた、新たなアナウンサーフレーズを45種類追加
  • BGMを4曲追加
  • 車両を1台追加
  • 実績を2つ追加
追加されたのはいずれも新規コンテツ。学生だった開発メンバーのうち数人は卒業したが、今もって勢力的なアップデートが行われている。

フラッシュバックとともに表示されるURL
さらにアップデートとともに、ARGと思しき動きが始まっている。これはアップデート告知の動画の最後、公式サイトのURLが表示されるところでフラッシュとともに別のURLが挿入されており、そのURLが発端となっている。

このARGサイトでは「次の段階へと進んだ際にメールで告知する」ためのメールアドレス入力画面が用意されている。また、ファンの手によって解析が進められているようだ。ARGと言えば『Portal 2』のものが印象深いが、インディーゲームでは聞いたことがなかったので非常に注目している。

ソース:
『Nitronic Rush』公式サイト
http://nitronic-rush.com/
『Nitronic Rush』公式サイト「Nitronic Rush: Commander Update (#4)」
http://nitronic-rush.com/2012/06/nitronic-rush-commander-update-4/
ARGに関する動きを報じた記事(IndieGameMagazine)
http://www.indiegamemag.com/intothemindseye/
『Nitornic Rush』のARGと思しきサイト
http://intothemindseye.com/

Unity、次世代でLinux対応へ 2012/06/18

エンジン関連はさっぱりなので、短めに。

Unity Technologiesは自社のゲームエンジンUnityについて、次世代のUnity 4ではLinuxに対応すると発表した。また、DirectX 11にも対応するとのこと。

UnityはCS機向けのAAAタイトルよりも、むしろインディーゲームで多く採用されているイメージ。Linuxにも対応するとなれば、今後さらに重要なゲームエンジンとなっていくと思われる。

ソース:
Unity 4のプレスリリース
http://www.marketwire.com/press-release/the-next-generation-of-the-unity-game-engine-unveiled-1670512.htm

2つの特殊な力を使ったFirst Person Puzzler『Vicinity: Warp Reality』リリース 2012/06/18

シンガポールのTemasek Polytechnicの学生チームが開発したFirst Person Puzzler『Vicinity: Warp Reality』がリリースされた。IGF 2012の学生部門にもエントリーしていた作品で、公開されているバージョンは1.1。公式サイトから入手でき、無料でプレイできる。

プレイヤーは手にしたグローブによって以下の2つの能力を使うことができ、それがゲームの要となっている。
  • 物体を引き寄せる、また吹き飛ばす能力
  • 自身の動きを記録し、異なった場所で再生する能力
1つめの能力は『Half-Life 2』のグラビティガンを想像すればわかりやすいだろう。左マウスボタンで引き寄せ、右マウスボタンで吹き飛ばす。ステージ上に置かれた球体を移動させて、特定の台座に置いてスイッチとして使う。

2つめの能力が重要、かつ個性的。Rでプレイヤーの移動を記録開始し、再びRを押すと記録を終了する。Eを押すことで移動の記録を視覚化でき、Qを押すとその記録を再生して移動する。例えば長い廊下でまっすぐ進む動きを記録してから、ジャンプでは届かないような足場の手前まで行き、その場で記録を再生すると離れた足場まで移動するといったようなことが可能となる。

記録の再生時に壁にめり込むような場合は、記録を視覚化したときに赤い色で表示される。また、再生時に進む方向は変えることができない。北に進んだ記録は北に進むようにしか再生できず、仮に南向きに再生しても移動先は北になる、といった具合だ。

レベルは全部で7つ、各レベルにイースター・エッグあり。総プレイ時間はクリアだけなら1時間程度。レベルエディタの登場が待たれるが、公式サイトにて「別の開発に携わっているなどの理由からリリースは難しい」との回答がなされている。

ゲーム中にESCを押すとメインメニューに戻ってしまうので注意。ただし、レベル単位でのリトライは可能。

ソース:
『Vicinity: Warp Reality』公式サイト
http://vicinitythegame.wordpress.com/
IGF公式サイト
http://www.igf.com/php-bin/entry2012.php?id=718

PLAYISM、『Symphony』のローカライズを開始 2012/06/18

PLAYISMが『Symphony』のローカライズを開始したことを、Twitter上の公式アカウントで明らかにしている。
『Symphony』は音楽に合わせてステージが変化するシューティングゲーム。開発に3年かかっており、ようやくリリースが見えてきて、ローカライズの目処も立ったようだ。

プレイ感覚がはっきりとは想像できないながらも、変幻自在のステージのシューティングということで楽しみにしていたタイトル。2012年版のトレーラーを見ると、過去のものよりスピーディーなゲームに変化していて、エフェクトもリッチになったように思う。ゲームスピードの変化がよい方向に働いていればいいのだが。

ソース:
https://twitter.com/playismJP/status/215287875984556032

そのほかのニュース

『Dungeon of Dredmor』新DLCが告知 2012/06/20

「Conquest Of The Wizardlands」という名前で$2.99。近々リリース予定(Pretty Darned Quick.)とのこと。
ソース:
 http://www.gaslampgames.com/2012/06/19/dungeons-of-dredmor-conquest-of-the-wizardlands/

『Anna』が開発完了。リリース日は未決定 2012/06/19

個人的に注目しているホラーテイストの一人称視点アドベンチャー『Anna』の開発が完了した、と開発ブログで報告がなされた。現在は販売のためにいくつかのデジタルディストリビューションサービスとの交渉をしているようで、リリース日はまだ決まっていない。

ソース:
http://dreampainters-anna.blogspot.it/2012/06/anna-release-date-info.html

『Sphere』は来月翻訳する予定がある 2012/06/18

先日、紹介したFirst Person Puzzler『Sphere』の開発に問い合わせをしたところ、来月、日本語への翻訳予定があるとのこと(日本語を話せる友人がいるそうな)。リップサービスでなければいいなぁ。心待ちにしている。

『McPixel』モバイル版はPC版のあとにリリース 2012/06/17

たったの20秒で数々の危機を脱しなければならないバカゲー『McPixel』。デモ版で一目惚れし、Android版が欲しいのでTiwtterで開発に聞いてみたら、iOSやAndroidを対象としたモバイル版はPC版版のあとにリリースされるということだった。早く出てほしい。
ソース:
https://twitter.com/Sosowski/status/214337786407436289

今週の気になるゲー

『Flip'd』

7DFPS*3で開発された一人称視点アクション。
スペースキーを押すとプレイヤーにかかる重力を反転させられ、この能力を使いながら最奥にあるゴールを目指す。重力反転にはEnergyが必要となり、ステージ上に落ちているオブジェクトを取ることでEnergyを1ずつ増やすことができる。水に触れるとそのステージの最初からやり直し。

『Portal』と『VVVVVV』にインスパイアを受けたとは開発者の弁だが、プレイ感覚は『Portal』というよりかは『Mirror's Edge』に近い。

KONGREGATEでブラウザ上でプレイ可能(無料)。俺は未クリア。

*3 「7日間でFPSを開発してみようぜー!」というイベント。2012年6月9日から15日にわたって行われた

ソース:
KONGREGATE『Flip'd』
http://www.kongregate.com/games/Chman/flipd
7DFPS公式サイト『Flip'd』のページ
http://7dfps.org/?projects=all-it-takes-is-a-little-push

『Words and Physics』

画面上に簡単な英単語を入力して解いていくパズルゲーム。ステージ内から「REMOVEME」のブロックを追い出せばクリアとなる。

ステージが文字で構成されていて、タイトルどおり物理演算が働くのがポイントとなっている。文字を消してブロックを下に落としたり、「MOVELEFT」でそのブロックを左に動かしたり、単純ながらなかなか楽しい。全18レベルでクリアまで1時間かからない。

解き方が複数あるわけではないものの、試行錯誤が楽しい。小粒ながら良作。開発の公式サイトを訪れればダウンロード版も入手可能だ。

ソース:
KONGREGATE『Words and Physics』
http://www.kongregate.com/games/keybol/words-and-physics
『Words and Physics』公式サイト
http://www.turbonuke.com/games.php?game=wordsandphysics

今週の注目トレーラー

『Xing』

謎の島に不時着した宇宙船のなかで目を覚ますところから始まる、一人称視点のアドベンチャー。かつて人がいたことを思わせる遺跡や彫像といったものが見られるだけで、舞台となる島に主人公以外の人間はいない。

プレイヤーは島の3つの時代を行き来できる(Player can visit three time periods of the floating islands of Xing)っぽいが、詳細は不明。操作は移動(視点移動を含む)、ジャンプ、インタラクトの3つで、謎解きしながら進めていくというシンプルなゲームのようだ。

2012年12月に最初のレベルを収録したデモをリリース予定で、2013年4月の完成を目指しているのとこと。

トレーラーを見る限りでは景観が美しく、非常に心惹かれる。『Dear Esther』を引き合いにだしている記事もあったが、あちらよりもオーソドックスなアドベンチャーなのではないかと思う。

ソース:
『Xing』公式サイト
http://xingthegame.com/
『Xing』公式ブログ「Welcome to the Xing Blog」
http://xingthegame.blogspot.jp/2012/06/welcome-to-xing-blog.html

『Perspective』


インディーゲーム界隈ではお馴染みのDigipenの学生プロジェクト。First Person Puzzlerに2D Platformerの要素をミックスした意欲作である。

2Dのキャラクターのモーションが『ロックマン』っぽい。

IndieGameMagazineも「例のごとく、言葉で説明するのはナンセンスだから、動画見たほうがいいよ!(As usual, these kinds of things always come out like nonsense when futilely explained with words such as this, so you better watch the trailer.)」と言っている。まさにそのとおり。

ソース:
IndieGameMagazine「‘PERSPECTIVE’ COMBINES FIRST PERSON PUZZLES WITH 2D PLATFORMING
http://www.indiegamemag.com/perspective-combines-first-person-puzzles-with-2d-platforming/

まとめ

今週はFirst Person Puzzlerにたくさん触れた1週間だったなー、という印象。UnityのLinux対応とIGFの今後の方針は、時代の流れもあってなかなか興味深い。

あとはやっぱり『スキタイのムスメ:音響的冒剣劇』かな。

Twitter上でもこの話題をよく見た気がする。なによりユーザーが得するような結果になったのは素直に嬉しい。「日本語版にアップデート」なんてよくわからない記述が出てきたり、4Gamerの記事に日本円で価格が記載されていたりと気になる点もあったけど、些細な問題だし、今後すぐに解消されると思う。

今後もインディーゲームのローカライズを続けてほしいと感じました。

Comments:1

  1. Steamにおいて「日本語版にアップデート」という言葉は基本的に使わない、という認識だったため、先のような記述をしております。

    リリース後に言語が増えて日本語対応したタイトルというと、最近では『The Witcher 2 Assassins of Kings』、『King Arthur II: The Role-Playing Wargame』あたりが思い浮かびます。しかし、2作品とも「日本語版にアップデート」という記述は私個人は見たことがありません。

    今回のような対応は、一般的に「アップデートにより対応言語が増える」、あるいは「言語パッチが当たる」といった表現が適切かと思います。

    また、Steamで日本語版とあえて記載した場合、別の商品となることを想起してしまうプレイヤーもいると思います。別商品になるというのは、Steam版『F.E.A.R.2』を日本から購入したときに起こるような現象のことです。

    4Gamerもその点について気づいていたとは思うのですが、8-4のプレスリリースなどに準拠した結果、今回の記述につながったのだろうと推測しています。

    Steamでの日本語対応時に発生するこのような認識の違いは、パブリッシャ、あるいはローカライズを手がけた会社の認識不足が根底にあるように私は考えており(有名な例では『The Elder Scrolls V: Skyrim』ね)、今後このようなユーザーとのズレが直っていけばなぁ、と思います。

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