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フリゲ2013が始まっています&私の選ぶ今年のベストフリーゲーム

Posted on 2013年12月16日月曜日 | No Comments

「フリゲ2013 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム」の投票が12月1日から始まっている。よそでも紹介されているし、このブログを訪れる人の大半はこのイベントのことを知っているのだろうな、と思ってぼんやりと時間が経っていたが、やはり「私の選ぶ今年のベストフリーゲーム」の紹介も兼ねて、紹介したいと思う。

フリゲ2013とは

フリゲ2013は、フリーゲームを対象としたオンラインの投票イベント。簡単に言うと、「今年(2012年12月1日~2013年11月30日)リリースされたフリーゲームから、あなたが好きなものを選んで投票してね」というものだ。
公式のQ&Aを読むと、痺れる文言が書き連ねられている。
  • 複数のタイトルへの投票可(1タイトルには1票しか投じられない)
  • 順位は飾り
  • 1位がすごいかはわからないし、あなたに合うとは限らない
  • 1位になってもいいことは特にない
  • 開発者自身による投票可
  • 投票を呼びかけてもよい
言ってみれば当たり前のことなのだが、そこをあらためて記述されるとグッと来るものがある。こんなにも慇懃な、潔く、紳士なアワードがあってたまるか、と思わずにはいられない。好きなものを好きなだけ「好き」と言っていい賞は最高だし、高潔だ。

というわけで、これを読むあなたが好きなフリーゲームがあるのならぜひ投票してほしい。

フリゲ2013 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム 投票ページ
http://yamazaru.s21.xrea.com/reviewers/best2013/vote.cgi

個人的にオススメするフリーゲーム

今年を代表するといった印象のある『帽子世界』は気になりつつも未プレイだし、序盤をプレイして「時間あるときにやろう」と思った『影明かし』も積みっぱなしだし、そもそも熱心にフリーゲームをプレイしているわけでもないのだが、好きなゲームのなかにはフリーゲームもあるので、おすすめの5作品をリストアップしておこう。なお、掲載順に特に意味はない。

『Records』(開発:マルニキカク)


ウディタ製のアドベンチャー。RPGではお馴染みの中世っぽい世界観だが、舞台となるのは小さな田舎町。主人公のロランは「音の錬金術」を志す学生で、成績が悪かったために「音を集める」追認試験に挑戦する、というのがおおまかなストーリーだ。

ゲームの中核は「音を録りため、それを鳴らすこと」。

キーアイテムを集めて、必要な場所でそれを使うというのは、アドベンチャーの基本と言ってもいいくらいありふれたシステムであるが、『Records』ではキーアイテムを目に見えない音というものに変え、新鮮なプレイ体験を生み出している。

2~3時間程度とプレイ時間は短い。ストーリーやキャラクター設定は典型、王道といったもので安定感はあり、短いながらきっちりと丁寧に収めている。リプレイ性が特別高いというほどではないものの、分岐やコンプリート要素もある。

『Records』 - マルニキカク
http://maru2kika9.boo.jp/index/index.html#c02
ダウンロードは以下より可能
『Records』 - ふりーむ!
http://www.freem.ne.jp/win/game/4437

『セブンスコート』(開発:Novectacle)


『ファタモルガーナの館』を手がけたNovectacleによって、エイプリルフール期間に送り出された新作ノベルゲーム(画像はやや悪意をもって選択した、というかキャラのビジュアルを避けた結果がこれ)。

主人公のフリーゲーム製作者Dark†Night(ハンドルネーム)はヒット作にも恵まれないうえ、現実世界でも燻っているという、いささか冴えない男。が、そんな彼を変える存在が現れる。彼のゲームの熱心な女性ファンがコンタクトをしてきたのだ。

彼女との出会いによって、Dark†Nightと彼の新作は今までにない息吹きを吹きこまれ、新たな色を纏っていく。そして、その先に紡がれ、生まれた作品の名は、本作と同じ名の『セブンスコート』。しかし、『セブンスコート』の公開に伴って、Dark†Nightのサイトの常連とDark†Night自身はRPGめいた異世界へと飛ばされてしまい……。

今書いても「ちょっと意味が……」って感じの物語なのだが、公式サイトに綴られた文句「ウェブ連動型、純情と絶望のメタファンタジーここに開幕!」を忘れてはならない。ネタのためと言っても過言ではないエイプリルフールという季節に、変化球でもなくド直球、それもデッドボールというネタを振りかぶったうえに助走をつけて放り投げてくるNovectacleに脱帽したのは、きっと私だけではなかっただろう。

過去に私は『Indie Game: The Movie』を「すべてのゲームファンに観てほしい映画」と形容した。本作『セブンスコート』は、それに近しい「すべてのゲームを作る人にプレイしてほしいゲーム」だ(まぁ、私はゲーム作ってないんだけど)。

世界観は『ファタモルガーナの館』の設定を持ち越している部分が結構あるので、ファンとしては、やはり『ファタモルガーナの館』からのプレイを推奨したい。しかし、『ファタモルガーナの館』をプレイしていないというだけでは、『セブンスコート』をプレイしないとう理由には不十分だろう。なぜなら単に順序が入れ替わるだけの問題でしかないから。

ダウンロードは以下より可能
『セブンスコート』 - Novectacle
http://novect.net/april.html

『怪奇瘴忌譚』(開発:HashimotoRST)


RPGツクールVX Ace製のRPG。神社に現れた妖怪を討伐するのが目的となっており、そのために数々の謎を解いていかなければならない。RPGでありながらアドベンチャーゲームっぽい謎解きがこれでもかと詰め込まれており、パズルゲームやアドベンチャーゲームを好むプレイヤーのほうが向いていると思う。

特に優れているのが、謎解きのエッセンスをマップ上のみでなく、戦闘、特にボス戦(7体いる大妖怪)にまで持ち込んだことで、ロジックを組み立てて戦闘に臨むようにデザインした点だ。例えば物理攻撃がさっぱり効かないだとか、そもそもエンカウントすることができないだとか、頭をひねった攻略が求められる。そのうえでボスの倒し方も1つではなく、いくつかの方法があり、さらに進行にはかなりの自由を持たせているというのも大きな美点だ。ゲーム序盤からすべての大妖怪と相まみえることが可能な設計、ありとあらゆるテキストが何かしらの謎に通ずることなども素晴らしい。

ゲーム序盤は、初期のドラクエのように一撃でゲームオーバーになるようなメチャクチャ強い敵とエンカウント(このゲームはシンボルエンカウントだ)してしまったりするし、中ボスクラスの敵になると適切な倒し方を見つけ出さなければまったく歯がたたないのも日常茶飯事である。もっともザコ敵は術を使えば確実に逃げられるし、そこまで無茶苦茶な要求をしてくるゲームではない。戦闘を含めた謎解きは全体的に一筋縄ではいかないが、理不尽なものはなく、頭の悩ませ甲斐がある。

「マゾゲー」と切って捨てるのは早計だ。

本作が影響を受けた『LA-MULANA』同様、あなたの知恵を開発者のそれと戦わせて、妖怪ともども一泡吹かせてやろうじゃないか。

実は本作については私がとても好きで、いくつか本ブログ向けに動いている案件があるのだが、それはまた次のお話。

ダウンロードは以下より可能
『怪奇瘴忌譚』 - ふりーむ!
http://www.freem.ne.jp/win/game/4550

『魔王姉妹の憂鬱』(開発:水飴)


1人のボスにただひたすら立ち向かうという変わった形式のRPG。マップはほぼない、と言って差し支えない。

敵1人対味方3人とはいえ、相手はすさまじく強く、1度の戦闘では到底倒せない。そこで鍵を握るのが「ラーニング」だ。これは敵から受けたスキルを覚えて、自分自身でそのスキルを使えるようになるほか、戦闘外の拠点のような場所で覚えたスキルをポイントに変換して、アイテムや装備の購入に充てることができる。

ラーニングとポイント使用によるキャラクターの強化を繰り返しながら、少しずつ強敵打破へと向かっていく過程が楽しい。ビジュアルや少しずつ語られる世界観も目を引く。早ければ1時間程度でクリア可能。長くとも4時間くらいだと思う。

私が春先にプレイしたときは、一部のスキルがかなり強かった記憶があり、配布停止ののち、改善版を配布予定だったと思うのだが、その後どうなったのかは不明。ウディフェスのアーカイブからダウンロード自体は可能なようだ。

ダウンロードは以下より可能
ウディフェス - 2013年応募作品 → 『魔王姉妹の憂鬱』は51
http://hinezumi.velvet.jp/wodifes/works/index/page:3

『Soundodger』(開発:Studio Bean)


ブラウザで動作する弾幕回避音ゲー。サウンドに合わせて射出される弾幕をただひたすら避けるだけのゲーム。「音ゲー」と言ったが、ゲーム内容はシューティング(の弾避け)に近い。単純に画と、「時は動き出す」という台詞でもついているかのように弾幕の停止、再射出される演出がカッコいい。

プレイヤーは自機の移動のほか、マウス左ボタンでスローモーションをかけて弾幕を回避しやすくすることもできる。また、スローモーションのあいだは曲にもエフェクトがかかるのが特徴的。

私の周りではあまり評判がよくなかった(特にマウスでのプレイについて)が、私は結構好き。上記のゲームと比較してしまうとベストからはちょっと遠いかもしれない。

のちにレベルエディタも付いた『Soundodger+』がSteamでリリースされた。

以下よりプレイ可能
『Soundodger』 - Adult Swim Games
http://games.adultswim.com/soundodger-puzzle-online-game.html

なお、今回紹介した5本は「いつかちゃんとレビューを書こう!」と思い、その決意を胸の奥底に秘めたまま年末を迎えてしまった(怠惰とも言う)作品群である。特に『セブンスコート』と『怪奇瘴忌譚』はとびきりの思い入れがあるのでいずれ書くつもりである(これらのゲームに当てたい言葉はいくつかあるのだ)。できれば『Records』と『魔王姉妹の憂鬱』も書きたい。

このほかにも本ブログの「インディーゲームの小棚」で紹介したゲームは、フリーで公開されているものが多く、そちらも基本的にオススメ。以下にフリーのものを列挙しておく、と考えたのだが、ほとんどが投票の対象外で、投票の対象となるのは『日常侵食ホラー つぐのひ』、『ナイトガイスト』、『Lens』の3作品だけだと思う。『日常侵食ホラー つぐのひ』は、新たに第3話も公開された。

インディーゲームの小棚:Shelf#07『日常侵食ホラー つぐのひ』
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/03/shelf07.html
インディーゲームの小棚:Shelf#08『ナイトガイスト』
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/04/shelf08.html
インディーゲームの小棚:Shelf#11『Lens』
http://nydgamer.blogspot.jp/2013/10/shelf11lens.html

ちなみに『ふしぎの城のヘレン』は、PLAYISMでのリリースに合わせてアップデートされ、同様のバージョンが公式サイトでも公開されたため、投票の対象となっている。昨年のフリゲ2012で2位に輝いただけあり、その内容は折り紙つき。私のなかでは2013年のゲームという印象が薄いのだが、未プレイならぜひともプレイしてもらいたいのは言うまでもない。

レビュー『ふしぎの城のヘレン』
http://nydgamer.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
上記は主催の赤松弥太郎氏のツイート。今年は昨年よりもたくさん票が集まっているようで、さまざまなゲームを知るいい機会なので結果も楽しみ。理念も好きなので、今後も継続していってほしいな、と思う。

投票は、2013年12月23日23:59:59まで。
クリスマスイブ前日は誰もが忙しいだろうから、先に投票しておこう!

フリゲ2013 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム 投票ページ
http://yamazaru.s21.xrea.com/reviewers/best2013/vote.cgi

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