画家のエッシャーからインスパイアを受けた作品で、名は『Souvenir』と言う。
「souvenir」は「土産や形見といった思い出を想起させるもの」のことを指すようだ。フランス語の「思い出す」という意味が語源らしい。
夢か、はたまた幻か。『Souvenir』の特異な世界観
『Souvenir』で描かれている世界は独特だ。ねじれた建物に、浮遊するように置かれたさまざまなオブジェクト、どこが天でどこが地かわからぬ構造。あるようでないが確かに存在する地平線。そのいずれもがエッシャーの影響を色濃く受けている。エッシャーという画家
エッシャー(M.C.Escher)は幾何学的な要素を持つ画(版画)を多数手がけたオランダの画家。滝や階段が実際にはありえない形でループしている作品が有名だ。以下にいくつか有名な作品を列挙しておく。
本作が醸し出している雰囲気にいちばん近いのが『Relativity(1953)』 |
参考としてエッシャーの公式サイトへのリンクも貼っておく
エッシャー公式サイト
http://www.mcescher.com/
天も地も己の思うがままに
『Souvenir』は一人称視点のアクションアドベンチャーだ。近しいゲームとして『Dear Esther』や『Proteus』を引き合いに出されることが多い。操作はWSADで移動、マウスで視点移動、スペースキーでジャンプというシンプルなものを採用している。Xbox 360でのコントローラも標準でサポートされているものの、LトリガーとRトリガーで左右旋回といった風変わりなものであるため、マウスとキーボードでの操作を推奨する。本作の最大の特徴は、プレイヤーにかかる重力方向を変えられるということ。
照準が白く変わる場所で左クリックすると、標準の当たっていた場所が地面になるように重力方向を変えられる。「撃った場所を地面に変えることのできる銃を持っている」と言えば伝わるだろうか。
照準が白いサークルのときは重力変化ができ、 赤いサークルのときは重力変化ができない |
本作のゲームメカニック的な広がりはこの重力変化だけだ。
戦闘はない。
パズルも、謎解きもない。
エンディングもない。
あるのは重力を変える力と、
不可思議な広がりを持った空間だけである。
奇妙に広がる心象世界
劇場と思しき場所からスタートする『Souvenir』の世界は一見、普通だ。しかし、ひとたび舞台の下の世界へと飛び込めば、奇妙に歪んだ風景がたちまちのうちに姿を現す。最初に訪れる劇場 |
自室のような印象を受ける風景 |
大きなカラスが何羽かいる |
学校といえば、やはりテスト |
時間の概念はないが、代わりに夜になっている場所がある |
この世界を放浪し、ひとつひとつ思い出を集めて、プレイヤーのなかに新たに主人公の心象世界を再構築していく。『Souvenir』はそんなゲームなのだ。
ぜひ自身の目でこの世界を見て、歩きまわってほしい。
プロトタイプ版をプレイするには
私が好きなエッシャーの画『Eye(1946)』 |
『Souvenir』公式サイト
http://souvenirgame.com/
本作はRobert Yang、Mohini Dutta、 and Ben Norskovの3名のコラボレーションプロジェクトとして開発されている。採用エンジンはUnity。クリアの概念はなく、ゲームを終了する際はAlt +F4するしかないっぽい。また、F12で最初からやり直すことができる。
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